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Neujahrskarten

2009年(丑)

牛

牛の顔をじっと眺めたことはありますか。好奇心でいっぱいで、平然とした大きくて黒い牛の目は子供のころから好きです。そのころは飼っていた犬を散歩に連れて、牛を眺める習慣がありましたが、飽きることは決してありませんでした。

生まれ育った北ドイツで牛のことを考えると、どこの牧場でも放牧されている乳牛が真崎に思い浮かびます。「乳牛」といえば、日本でも有名な「ホルシュタイン」。「ホルシュタイン」とは、ハンブルクの北にあるシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州の地方名。しかし、「ホルシュタイン」という牛は本当にドイツの牛でしょうか。

ホルシュタイン種の歴史は17世紀から始まり、牛の種として案外長いといえるかもしれません。しかし、発祥地はヨーロッパではなく、アメリカです。北ドイツやオランダから移住した開拓者が古里から連れてきた牛をアメリカで交配し、低脂肪の乳をたくさん産出できる牛を目指しました。

丈夫で牛乳の産出能力が優れたこのホルシュタイン種が19世紀にヨーロッパに渡来し、1876年以降はドイツでも育種されています。20世紀の60年代にドイツ国内で始めて大きく普及したこの種ですが、ドイツで登録されている育種用の頭数が現在、世界最大といわれています。種のルーツや現在の頭数を考えると、ホルシュタインをその結果ある意味で「ドイツの種」や「ヨーロッパ大陸の北海付近の種」ともいえるかもしれませんが、北ドイツの田舎に行けば必ず目にするこの牛がそれにもかかわらずドイツの文化と景観に大きな影響を与えていることは間違いありません。

ところで、ホルシュタインだけではなく、ほとんどの牛が白黒や赤白のものですが、紫白の牛もいると硬く信じている子供がドイツ国内にも何人かいるようです。それはなぜかというと、スイスの大手チョコレートメーカが50年代の前半以降、浅い紫色の牛をシンボルマークにしたからです。

今年もよろしくお願いいたします。

(2009年元旦)

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最終更新:2009年1月1日
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