この間の旅先でおもしろい風見鶏を発見しました。デザインは鶏ではなく、臼に蛇でした。よくよく見ると、屋根の上に風見鶏が飾ってある建物が薬局でした。
医療関係のロゴマークには蛇のイラストを使うことは多いようです。杖に蛇は一般的に医療機関、杯や臼に蛇は薬局や製薬会社、「V」の文字に杖と蛇は獣医です。
蛇と医学の関係の由来が古代ギリシアの神話にあります。
医療の神様アスクレイピオスの印である杖と蛇が当時以降、医学のシンボルマークに使われてきました。アスクレイピオスは光、健康や春などの神様アポロンの息子で、杖に巻いてある生きたままの蛇を連れて患者を訪問することは彼の役割だったそうです。神様が恐ろしくて近づきにくい古代ギリシアですので、一般市民がアポロンのお寺に近寄ることさえできなかったが、アスクレイピオスがその一方として皆の生活に大変身近な存在だったそうです。
ヨーロッパでは、蛇が大昔から強い力の持つ生き物として尊敬されてきました。蛇が脱皮し、若返ります。蛇の集中力と視力が優れていると思われました。蛇には病気を治す力があると信じられ、蛇から薬を作ることさえありました。
ところで、杖に蛇は世界各地を歩くお医者さんアスクレイピオスのシンボルですが、薬局に使われている杯がアスクレイピオスの娘ヒュギエイアのものです。アスクレイピオスと同様に、ヒュギエイアも健康の神様でした。彼女の名前が今でもドイツ語や英語の「衛生」である「Hygiene」に残っています。
大昔の古代ギリシアの神話が形を変えて、今でも案外生きています。
(2013年元旦)
最終更新:2013年1月1日
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