E-Mail
elfferding@ gmail.com

ドイツ語 Deutsch
Neujahrskarten

2008年(子)

子

「ハーメルンの笛吹き男」は日本でも有名なグリム童話です。昔々、ハーメルンという街が鼠に溢れて、皆の生活が大変になりました。ある日、外からやってきた、派手な洋服を身にまとっていた男に市民が助けを求めました。男が賛成し、笛を吹きながら鼠を街の外に連れて行きましたが、市民がいきなり彼のやり方にケチを付けて、約束した報酬を払いませんでした。そこでは、男が笛を吹きながら町中の子供たちをハーメルンから連れて行きました。

このような話ですが、「ハーメルン」という街は実際に存在します。昔はハンザ同盟の加盟都市として栄えていたハーメルンがハノーファの近く、北ドイツにあります。日本でも有名なテーマルートである「メルヘン街道」沿いです。中心市街地の歴史的遺産が今でも豊かで、特にルネサンス様式の建築遺産が有名です。

「ハーメルンの笛吹き男」は童話ではありますが、派手な笛吹きの男と街からいなくなった子供の事件が本当にあったようです。「子供たちが伝染病のためになくなった」、「川が氾濫し、大勢の子供たちが死んだ」、「子供たちが新宗教に乗って、どこかに行ってしまった」など、歴史的な背景に関する何となくくらい仮説が以前からいくつかあります。しかし、1997年の研究では、ライプツィヒ大学の固有名詞学者がこの童話の歴史的な背景に一条の光を投じた。

本当の話はもっと明るく、もっとめでたかったようです。そして、ハーメルンの子供たちの子孫が今でも元気に生きていると思われます。

笛吹き男の話は13世紀頃に初めて記録されましたが、13世紀には、東の開拓が盛んで、ドイツ語の言語圏がだんだん広くなりあました。しかし「東」と言っても、開拓の目的地は東洋でもなく、東欧でも有りませんでした。「東」とは、昔の距離感でとんでもなく遠かったベルリン付近の「ウッカーマルク地方」であったようです。今でもハーメルンの近辺にあるような地名が多く、この地名がきっとハーメルンから来た移住者によって付けられたと、ライプツィヒ大学の先生が指摘しています。

派手な洋服の男も本当にいたかもしれません。開拓者を募集した貴族だったかもしれないし、昔はたくさんいた「開拓の専門業者」のような存在だったかもしれません。

しかし、若い人たちが故郷を後にして、希望を持って新しい生活を築いたことは、ハーメルンに残っていた人びとに喜ばれなかったようです。「子供たちが悪いやつに連れられて、皆いなくなったよ!」とは、何かのいいわけにも聞こえませんか。

(2008年元旦)

トップに戻るトップに戻る

最終更新:2008年1月1日
© Susanne Elfferding. All rights reserved.