新春を迎え、皆様のご健康とご多幸をお祈り致します。
リューベックの聖マリエン教会の中を散策すると、教会の一隅に隠れているネズミとその子供の小さな彫刻を発見できるでしょう。
このネズミがリューベックの歴史を大きく変えました。
リューベックやハンブルクなど、ハンザ同盟に属する多くの都市が教会や貴族などに属しない、商人がその運命を決める「自由都市」であることが誇りでした。
この自由と富のシンボルとしては、教会のそばに育つ立派なバラの木が昔、市民の皆に非常に大事にされました。花が美しいだけではなく、このバラの木が栄えているうちには、市が栄える神話があったからです。
しかし、バラの木がある日、急に枯れてしまいました。
不安になって、その原因を探した市民が木の根っこをかじるネズミを見つけました。ネズミが木の根っこのところに巣を作って、子供を育てていました。
皆が恐れていたことがそのすぐ後に起こってしまいました。1200年ごろには、市がデンマーク王に負け、デンマーク帝国の一部となり、その自由を失いました。
しかし、この状況が長く続きませんでした。
1227年には、デンマーク王が戦で隣国の貴族に負け、リューベックの土地をまた失ってしまいました。その結果、リューベックが再び立派で豊かな自由都市に戻り、以前よりも栄え、勢力を握るようになりました。
この歴史を記念するように、市内のお城がドミニコ会の修道院とし立て直されました。この建物が今でも残り、旧市街の北の城門のそばに存在します。さらには、1277年から着工され、二つのおおきな塔を持つ聖マリエン教会の中には、ネズミとその子の小さな彫刻が残されています。この協会がオランダ、北ドイツやバルト海沿岸の独特の「レンガゴシック様式」の最初の建物といわれているだけではなく、中の空間の高さが38.5mで、レンガ建築としては最大といわれています。
(2020年元旦)
最終更新:2020年1月1日
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