「2010年は寅年ですが、寅はドイツにいないな…」と、今年の年賀状デザインを悩みながらハンブルク港を歩いたら、立派な寅を発見!大文字に「TIGER」と書いてある汽船のタッグボートです。タッグボートは大きな船を港内で引っ張る小さい船で力の固まりなので、TIGER号はパワーにあふれている新年の象徴にぴったりではないでしょうか。
総長17.32m、38.07総トンで、240馬力の「TIGER」号には実に面白い歴史があります。
ちょうど100年前の1910年にハンブルク市内の造船所で建造されて、TIGER号がエルベ川を往来し、ハンブルク港で仕事をしてきました。貨物を大きい船から運河沿いにある倉庫に運ぶ艀(はしけ)を引っ張る仕事は多かったが、人を乗せて渡し船として働くこともあり、船体が強化されているために砕氷船としての仕事もえできました。
しかし、力一杯のTIGER号のエネルギー消費は著しいものです。一時間に石炭75kg、水700lほど必要です。ディーゼルエンジンが普及した結果、元気いっぱいに働くTIGER号が1966年以降見られなくなってしまいました。
「イザという時に使えるから」とのことで、TIGER号がスクラップされなかったのは本当に幸運でした。
TIGER号を保存船として残す動きが1978年から始まり、船の修復のために多くの人がお金を寄付し、ボランティアによって修理され、造船所もそれに貢献しました。現在の船主はエーベルゲンネ地区で伝統的な船を保存する港を持っているNPOです。このNPOは30年以上前に設立されて、現在は灯台船、クレーン船や帆船を所有しています。エルベ川の浜が近いこともあり、これらTIGER号が保存されている場所は人々の憩いの地となっています。もし機会がありましたら、是非一度行ってみて下さい!
TIGER号は現在、すべての港関連のイベントに出てきます。5月のハンブルク開港際や6月に開かれるハルブルク地区の港祭りではTIGER号に乗ってみることができます。TIGER号を貸し切って、ハンブルク周辺の川や運河へ遠足に出かけることも可能なので、TIGER号の昔の元気な姿を目にする機会がかなり多くなっています。
大晦日には大きい船の汽笛の声に混じって、TIGER号の声は深夜0時にこの港のどこかで聞こえたのではないでしょうか。
(2010年元旦)
最終更新:2010年1月1日
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