「きつね」という羊の一種がいます。色が確かに少し赤っぽく、きつね色に近いものです。元々はドイツ中部の山地に育った羊の一種で、病気が少なく、丈夫な種です。毛がやや堅いが、カーペットや羊毛など、いろいろな商品を作るためにつかわれています。
「きつね」という羊の色が本当に驚くべきものです。子羊が本当に濃くてすばらしいきつね色で生まれ、大人の羊の場合は、顔や足(つまり毛が短いところ)がこの色のままです。その一方、体の長い毛が少し赤っぽくて上品なクリーム色で、濃いきつね色の毛が少し混ざっています。この毛の毛糸から編む洋服が本当に自然で上品な色になります。
動物とはいえ、「快適化」が主流となった戦後の農業においては、家畜の伝統的な種がどんどん消えてきました。毛がやや堅い「きつね」がその一つです。元々はたくさんいた種のはずではありますが、現在は数千頭しか残っていないそうです。
しかし、珍しい家畜を楽しむ人が最近、増えてきました。趣味として羊を飼う人もいれば、珍しい家畜を残そうとする動物園さえあります。多様な生き物が面白いからだけではなく、家畜と言った生物の多様性が伝染病の対策となり得、家畜を強くします。
しかし、家畜だからこそ、商品の販売が昔の種を残す一つのきっかけとなります。
羊の場合はチーズや肉がおいしいし、毛が糸になりますので、魅力的な商品がたくさんあり、簡単そうですが、実はウールが安くなったので、国内産の物をほとんど売れないことが事実です。ウールを販売する値段よりは、羊の毛を刈る作業の方が高く付きます。しかし、毛を刈らないことが羊の病気につながる場合があり、毛が重たいので倒れた羊が自力で立ち上がらなくなることなどの問題の原因となります。そこでは、が小さい工場と手を組み、いくつ化の農家がこだわりのある商品を作ることにしています。
編み物が近年また流行ってきたドイツですが、羊の一種、生活環境や一匹一匹の名前まで把握できる毛糸が最近手に入るようになりました。手紡ぎの毛糸もあれば、紡績機で作られたものもあります。色がしろ、灰色、茶色や黒、あるいはまだらな羊の場合は、糸を染めなくても面白い色が出ます。
「きつね」からえられた毛糸がもちろん魅力的なきつね色です。
(2015年元旦)
最終更新:2015年1月1日
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