E-Mail
elfferding@ gmail.com

ドイツ語 Deutsch
Neuigkeiten

路子ブログ*の2013年ログ

(*鉄道の好きな女は「鉄子」なら、道路に興味のある女は…?)


リンク大晦日 || リンク大規模のプロジェクトが永遠に伸びるわけ || リンクものを運ぶには・・・ || リンク大事なものをトイレに流しました! || リンクワイルドの13番 || リンクエルベ・トンネルの色々 || リンク国境を楽しむ秋のサイクリング || リンク「交通の邪魔じゃない。交通だよ!」 || リンク「戦争があって良かった!」 || リンク島の独立を図る || リンク浮いて暮らす || リンクV2G会議 || リンクハンブルク市内の先端的な乗り換え案内 || リンク自転車と鉄道がお財布の友! || リンク「船」+「再生可能エネルギー」=「帆船」? || リンクカールスルーヘ市が成功したわけ || リンク市街地外の道路に自転車の車線? || リンク「2040年までにCO2ゼロ」と、野心的な計画を持つ都市 || リンク地方道路の新しい整備基準「RAL」 || リンク欧州グリーン首都 || リンクロストフ・ナ・ドヌ || リンク折りたたみ自転車 || リンク自動車交通が社会経済を大きく負担するわけ || リンク島まで帆船で行こう! || リンク自転車の乗り心地調査 || リンク田舎の生活が本当に安いでしょうか? || リンク理想的な都市とは…


クリスマス

2013年12月31日(火)
大晦日

今年の冬が暖かくて不思議です。そのためには、数年前の凍ったリンゴを年末の写真に使わせていただきます。

Frohe Weihnachten und alles Gute im Neuen Jahr!


隠す
本当の費用とリスクを隠すのはだ~ぁれ?(撮影:Szater、アートはBanksy)

2013年11月20日(水)
大規模のプロジェクトが永遠に伸びるわけ

ベルリンの空港、シュツットガルト21の駅改造、ハンブルクのエルブフィルハーモニーなど、ドイツ国内の大規模のプロジェクトが永遠に伸びるのは、日本から来る皆様にとっては大きな不思議のようです。

実はドイツ国内でも大問題となっています。

(税金を払っている)市民が怒っているだけではなく、今年の春には、連邦交通・建設・都市開発省が、どうやって大規模のプロジェクトをもっと円滑に運用できるかを議論する専門委員会を発足しました。4月の資料を見ますと、事前の徹底した計画作成、リスク管理、融資の事前確保と情報公開などのキーワードが並びます。

この問題の原因がいくつかあります。プロジェクトの実施が長くかかるほど、値段の上昇がコストの拡大につながります。物足りない契約のために、責任に関する訴訟が発生しやすく、市民にとっては関係のない争いが時間を食ってしまいます。リスクマネージメントが不十分で、予定されていない何かが発生すると、全てが乱れます。

また、オクスフォード大学のフリュビャウ先生によりますと、大規模のプロジェクトが難航するには主に二つの理由があります。両方ともが世界各国共通です。

一つの理由が政治家とプランナの心理にあります。プロジェクトの効果を過信し、コストを軽視する傾向があります。その結果としては、プロジェクトが完成しても経済性が怪しいケースがあります。

もう一つの理由が政治的な理由です。プロジェクトを魅力的で安く見せるほど、プロジェクトが議会を通る可能性が高いといえます。名誉を期待する政治家、収入を期待する企業やアイデアの実施を期待するプランナがこの問題に貢献します。要するに、「不適者生存」のことになります。

この問題が入札の際にも続きます。プロジェクトを魅力的で安く見せると、成功する可能性が高くなります。発注者もそのことを知っているので、金額が低いのは暗黙の了解となります。同じ理由で定額で何かを作ってくれるゼネコンに任せるよりは、作業一つ一つを発注し、行政で管理する傾向が明確です。

日本と比べて専門職が多いドイツの行政ですが、財政難のために人手が足りません。その結果、大規模のプロジェクトに参加する企業が多ければ多いほどは、全ての管理を行政で仕切れなくなります。そのためには、大規模のプロジェクトを管理する企業を設立した方が良いと、専門家が推薦します。たとえばハンブルクのリンクハーフェンシティ有限会社リンクIBAハンブルク有限会社のようなものですね。

さらには、プロジェクトが完成してからのエバリュエーションが必要になります。独立した第三者が行うものです。ドイツ納税者連盟によりますと、運用費や建物のライフサイクルコストをさらに最初から計画に含むべきです。発注の際に金額の上限を決め、プロジェクトが早く完成した場合はその金額を高め、遅れた場合は金額を減らすなどの提案もあります。連邦のレベルで大型プロジェクトに関する知恵を集め、各地方自治体にアドバイスを出す機関を設立するアイデアもあります。

その一方、ボトムアップのアプローチもあります。

元連邦大臣で、シュツットガルト21の和解に大きく関わった政治家ハイナー・ガイスラー氏が大規模のプロジェクトに関しての徹底した住民参加を提案しました。参加を求めている市民がどんどん増えますので、住民の声を無視してプロジェクトをそもそも実施できません。ガイスラー氏によりますと、それは当然のことです。計画手続きの際に意見を述べるチャンスがあっても、本当の参加がまだありません。

ガイスラー氏の提案が4つのステップを踏まえたプロセスです。

最初のステップが半年ぐらいの情報公開です。プロジェクトのメリットとデメリットをきちんと整理し、議論します。情報が偏らないためには、プロジェクトの支持者と反対者が平等に専門家による分析を依頼できる予算があります。もちろん、プロジェクトの内容だけではなく、融資なども議論します。

次のステップとしては、住民投票による決断があります。プロジェクトの有無です。

もしプロジェクトの実施が決まった場合は、3つ目のステップを踏み、プロジェクトの詳細といくつかの実施案を作成します。方法が従来のプロジェクトの通りです。結果がまた徹底的に公開されます。

4番目のステップとしては、実施案のどれを実施するかを住民投票で決めます。

もし住民が関心を示さない場合は、議会が今通りに勝手に判断します。

この方法が面白いと思いませんか?


トップに戻るトップに戻る

貨物自転車
今はやっているようなカーゴバイク。(撮影:Frilius*

2013年11月7日(木)
ものを運ぶには・・・

Q:北ドイツのヴァッケンで毎年開かれる世界最大ヘビーメタルのフェスティバル、今年はハンブルクで開かれたプロテスタント教会大会とドイツ各地の郵便局の共通点は何でしょうか。

A:皆が荷物を自転車で運びます。

先月にハンブルクで開かれたカーゴバイク会議が自転車の新しい活躍分野に注目しました。「カーゴバイク」とは、貨物用の自転車です。オランダやデンマークですでに広く普及している貨物自転車の数が最近、ドイツでも増えていきます。

理由がいくつかあります。

プロテスタント教会大会では、およそ1トンの物が数日の間に自転車で運ばれました。郵便物や資料など、軽い物だけではありませんでした。集団のための食品、フォークリフト用のパレットやケーブルドラムなど、かなり大きくて、重たい物もありました。そのためには、プロテスタント教会大会の開催者が多様なカーゴバイクが用意し、20名のボランティアがイベントの間にそのドライバーになりました。

確かに、カーゴバイクの種類が近年多様になり、電動アシスト自転車が普及してきたことが今後、カーゴバイクの(ちょっとした?)ブームにつながるかもしれません。横転しにくい3輪の自転車の他に、普通の自転車と乗り心地があまり変わらない素早い2輪のカーゴバイクもあります。電動アシストありとなしもあります。荷台の形も色々です。

カーゴバイクが家族の遠足や買い物にも、シティ・ロジスティックスにも向きます。荷物を市内のいくつかの拠点に置いておき、細かい配送を自転車で行う宅急便がすでにあります。私の住んでいる場所の近くには、食べ物を自転車で運ぶピザ配送サービスがあります。

アマゾンや楽天などのおかげ(せい?)で自動車の配送車両がどんどん増えていく今の街では、交通量を減らすシティ・ロジスティックス戦略が間違えなく必要になります。シティ・ロジスティックスが電動アシストのカーゴバイクが活躍できる分野と思いませんか。化石燃料から足を洗うEモビリティが近年広く議論されていますが、「Eモバイル」を自動車する必要が何一つもありません。

ところで、今年の夏に開かれたユーロバイク展示会では、メルケル首相が電動アシストのカーゴバイクに関してはかなりの興味を示したそうです。次世代の公用車が屋根付きのカーゴバイクかな?


トップに戻るトップに戻る

イエンフェルダー・アウ
先日見学に出かけたイエンフェルダー・アウの建設現場。

2013年11月5日(火)
大事なものをトイレに流しました!

大事なものとは、エネルギー源の一つです。糞尿です。糞尿のことが決して汚い話ではなく、するべき話です。先日は面白いプロジェクトの見学に出かけて、糞尿の面白さに目が覚めました。

欧州内でも先端的な「ハンブルク・ウォーター・サイクル」プロジェクトが、このエネルギー源を街区規模で熱と電力の製造に活かそうとしています。連邦交通・建設・都市開発省(BMVBS)と連邦建設空間整備局(BBR)が抱えている「全国都市発展製作事業」の一つのパイロットプロジェクトとなっています。

このパイロットプロジェクトの目的は開発中の街区内で将来は発生する糞尿を同じ街区内で集めて、エネルギー源に使うことです。住宅から発生する糞尿を家庭雑排水と別に集めて、他のバイオマスとともに発酵させ、バイオガスにします。コゼネレーションを通して、このバイオガスから暖房用の熱と電力を作ります。お風呂、洗濯機や台所などで発生する家庭雑排水が敷地内で別に浄化されますので、都市の下水道に入る汚水が全く発生しません。

ドイツ国内では、エネルギー生産の分散化がすでに進んでいますが、エネルギーに続いては下水処理の分散化がこのプロジェクトの内容です。資源になり得るものをなるべく消費者に近いところで再利用することによって、環境影響が減るだけではなく、経済性が上がる期待があります。

環境面のメリットが明確です。まずは大事なお水の無駄がありません。人間1人当たりの糞尿の量が1日約1.5リットルと言われていますが、この糞尿をトイレで流しますと、その量が25~50リットルに増えます。病原菌や制約品などによる汚染がありますので、下水処理場での処理が大変である一方、密度が高いトイレの汚水のみを処理する場合は、手間を一部省けます。さらには、糞尿から製造されるバイオガスが化石燃料の代わりになりますので、CO2排出量を減らす効果がさらにあります。

下水が街区内で処理されますので、下水道の料金も発生しないだけではなく、水道水の消費量と水道料金が減り、エネルギー費用が減ります。その結果、トイレの汚水をエネルギー製造に使う「ハンブルク・ウォーター・サイクル」が実施しますと、居住者が得します。インフラとして提供するべき下水道を整備する必要がないので、市も喜びます。

面積およそ35ヘクタール(およそ10万坪)のイェンフェルダー・アウがナチス軍により1930年代に演習場として開発され、戦後は連邦軍のものになりました。空き地となった演習所を今後再開発することになっています。770世帯の住宅を建設し、緑の多い新しい街区を開発することになっています。オランダの設計事務所WEST 8が提案した景観コンセプトが2010年に国際都市景観賞の1等賞を受賞しました。

このプロジェクトがハンブルク市内の19の「気候モデル地区」の一つとなっています。


トップに戻るトップに戻る

2013年10月22日(月)
ワイルドの13番

「ワイルドの13番」が愛されています。あだ名が付いただけではなく、人文学研究の対象となり、本が書かれ、ドキュメンタリーまで作られたバス路線が他にもあるのでしょうか。

ハンブルクの13番バスがリンクIBAハンブルクの地区として日本でも有名になったヴィルヘルムスブルク地区内の普通の路線バスです。18カ所のバス停に止まり、そのうちにはヴェッデルとヴィルヘルムスブルクのSバーン駅もあります。平日の朝4時8分から夜の0時45分まで運行し、週末や休日にもそれなりに運行し、ごく普通の都市バスです。

エルベ川の中州であるヴィルヘルムスブルクの人には、このバスに乗ったことのない人がいないかもしれません。ヴィルヘルムスブルクの人々が大変独特です。人口およそ5万5000人の人口で、外国人人口、低所得者や若者がハンブルクの平均より多くいるそうです。外国人居住者が5割を超え、国籍が100以上あるそうです。

人類学が専門であって、毎日このバスに乗って大学に通うある大学生がこの多様性に気づき、どんな人がいつどこに座り、国籍別や年齢別に固まる傾向があるかどうかなどのことを修士論文にするようになりました。彼女がそのためには人の動きとバスの使い方を観察し、なるべく多くの人をインタビューしました。この研究の結果を楽しい本にまとめ、地区内に暮らしている若い写真家が撮った写真を載せています。

バスに乗っている一般の人へのインタビューが本当に面白いことです。言葉の通じない人たち、服装や顔立ちが違う人、見ても動作が通じない人たちなど、あらゆる人間がバスに乗ります。不安を感じる人がほとんどいないようですが、他の人に関する思い込みや偏見が若い人類学者の結果としてはっきり出る場合があります。どちらにしても、たびたびこのバスに乗ってみると、いろんなことがわかります。どんな人が地区内に暮らし、どんな問題があり、人がどんな悩みを抱え、若い人の間に何が流行っているかなどです。そして、IBAハンブルクの結果に街がどう変わるかを肌で感じることができます。

今年の夏に公開された30分のドキュメンタリーが彼女と似たようなアプローチをとっていますが、ドキュメンタリーの場合は地区内で長年暮らし、長い間に生活し、活動をしている人へのインタビューが中心です。運転手の制服の帽子をまだかぶっている唯一の運転手で、にこにこする兄さん、最近なくなった奥さんのことを悲しみながら遊覧船で中州を案内する元気なおじいさん、お母ちゃんが遠いトルコにいることを悲しむ若い男性や工場の廃墟をイベントホールとして残そうとし、行政と戦い続けている環境学者です。年齢、国籍、教育水準や意見いろいろの人たちですが、街への愛着が共通します。

あだ名の「ワイルドの13番」がところで児童作者ミハエル・エンデの「ジム・ボタンと13人の海賊」(・・・と言うのは日本語のタイトルですが、ドイツ語から直訳すると「ジム・ボタンとワイルドの13」となります)からくるそうです。


トップに戻るトップに戻る

エルベ・トンネル
開通1911年の古いエルベ・トンネル。魚、かにや靴(!)など、川の底に存在するあらゆるものの化粧タイルや100年以上前から動いている大型のエレベーターなどが見事です。

2013年10月16日(水)
エルベ・トンネルの色々

1911年開通の古いエルベ・トンネルが最近、ハンブルク市を案内するあらゆるガイドブックに載っているようです。土木の世界の不思議の一つであるといえるほど、観光客が最近集まります。港の通勤道として整備されたこのトンネルが元々人や馬車、今は人と自転車と車を中心市街地から港湾施設に通します。100年前のエレベータが今でもそのまま動いています。エルベ・トンネル全体が2003年以降、史跡保存の対象となっています。

開通当時は年間2千万人ほどが通ったそうですが、港のコンテナ化と伴って港で働く人の数か大きく減った結果、通勤者の数が1960年代から減ってきました。

エルベ・トンネルが通勤の路としてよみがえったきっかけが自転車です。港を横断する自転車道が数年前に整備された結果、工事現場のままでも歩行者と自転車の数が2012年に90万人までに上り、その数が今年の内に100万を突破するそうです。その一方、車の数が13万台(5年前の3分の1)まで減少し、今後も減る見込みです。

その結果として、トンネルを担当する港湾局(HPA)がエレベータの運用コンセプトを変え、大型のエレベータに車だけではなく、常に人と自転車を乗せるようにしています。歩行者自転車がそれでも相変わらず無料に24時間にトンネルを通ることができますが、車、バイクや原付が有料で、平日の昼間のみとなっています。

開通100周年の一昨年に完成する予定の徹底的なメンテナンスと修復工事がまだ終わっておりません。完成の見込みが2019年まで伸びました。なぜなら、整備当時は先端技術であった潜函工法のケーソン式工法で整備されたトンネルがかなり複雑な構造となっているからです。外から中の順番には大きな金属のリング、透水コンクリートと化粧のタイルがあります。しかし、金属のリングの間にある鉛の目地が劣化し、透水コンクリートが水を吸ってしまったことがタイルをはがして初めてわかりました。鉛の目地を交換することが必要です。

しかし、エルベ川の川床が砂でできているので、工事を慎重に行わなければなりません。思いっきりコンクリートを外したり、路面の下にある金属の重しを移動させたりしますと、トンネルが浮いてしまい、ちぎれてしまう恐れがあります。

延長およそ430mのトンネルですが、およそ6千万ユーロの工事になるそうです。工事が終わったら、すばらしい土木遺産が貴重な交通路としてのその役割を長年果たし続けるでしょう。


トップに戻るトップに戻る

国境
「国境サイクリングルート」のミニ写真集。上から下:▶ルートのロゴマーク▶アーベントフトの教会が重要な目印▶トゥナー市の建築遺産▶主な交通ルールを説明する国境の看板▶国境▶画家エミール・ノルデの家。

2013年10月9日(水)
国境を楽しむ秋のサイクリング

さすがに自転車の国、ドイツとデンマーク。国境を自転車で楽しめる観光ルートが他にもあるのでしょうか。先週の休日をきっかけに、この珍しいルートをちょっと歩いてみました。

総延長およそ130キロの「国境サイクリングルート」が2005年に公開され、ドイツとデンマークの間の国境を13カ所でわたります。このルートをたどると、西の北海海岸からと東のバルト海海岸まで歩くことができます。デンマーク国内で国境と平行する「ルート8」とドイツ国内で国境と平行する「北海・バルト海・サイクルルート」との組み合わせも可能ですので、どこかの街に宿泊し、ぐるぐると回りながらこの地方を楽しむことができます。40カ所の情報看板が地域の歴史や特徴を説明します。十分に遊べます。

大自然やこじんまりした街、ドイツとデンマークの歴史や地方の文化など、発見できることが数多くあります。自然保護地区に生まれ変わった軍隊の演習場、400年間がんばってもなかなか農地を生み出せなかった干拓事業の(海から遠い!)土地、密輸入と国境で勤務する貧しい税関職員、戦後にドイツでバナナを買うデンマーク人とデンマークでバターを買うドイツ人、周辺の道路と畑が全て外国である飛び地の農家のメリットと不便、デンマークの王様が南ドイツの貧乏農民を誘っても失敗した250年前の沼地の農地開拓プロジェクト、5つの言語を普通にしゃべられた農村の人々、青銅時代に初めてできた家畜の商売ルートである「牛の海道」など、よくよく見るとこの国境なりの不思議がたくさんあります。

国境そのものの歴史も不思議です。ごく簡単に言えば、元々はバイキングの生活圏であった土地が小さい国々に生まれ変わり、デンマークの王様が15世紀に侯爵に選定されました。それでも、シュレースビッヒ地方とホルシュタイン地方がデンマーク王国の一部になったのは1800年です。当時は国民国家が欧州内で流行ったので、ドイツ(つまりプロイセン)とデンマーク(と遠いけどなぜかオーストリア)の間の戦争が19世紀の後半に相次ぎ1867年にプロイセンの一部となりました。しかし、今の国境が決まったのは1920年の住民投票です。1955年のボン・コペンハーゲン宣言により、両国が自分の国に暮らしているお互いの住民に特権を与え、平和の共存の道を切り開くようになりました。

私の記憶ではデンマークがいつも旅しやすい国でしたが、シェンゲン条約の結果、国境らしい国境が全くなくなっています。「ここはドイツ」、「ここはデンマーク」の標識があるぐらいで、後は変わるのが道路標識とお金ぐらいです。店舗の看板にはドイツ語もデンマーク語も見られます。国境付近のスーパーなどが休日にも営業中です。不思議な国です。

「国境サイクリングルート」の指定と整備がEUのより補助され、主なプロジェクトパートナーがドイツのフレンスブルク市にある環境団体とデンマークのオーベンロー市にある観光マーケティング団体です。両国の国境沿いにある数多くの地方自治体や団体がこのプロジェクトの実施に貢献しました。地図やガイドブックが売ってあり、大変充実した地域情報提供するウェブサイトもあります。5泊3日の観光コースなども提供されているので。

※自分へのメモ:
また行きましょう。しかし、山の坂道と違って、平地の風が絶えず邪魔をしてくれる場合がありますので、強風が多い秋をなるべく避けましょう。


トップに戻るトップに戻る

2013年9月30日(月)
「交通の邪魔じゃない。交通だよ!」

今年では、ハンブルクがドイツ国内のクリティカル・マス首都となったようです。参加者の数が今年の7月に3000人を遙かに超えて、ドイツ最大だったそうです。8月には2500人ほどが集まり、自転車の列が1.5キロほど長かったそうです。自転車ではなく、車だったら、どれぐらいの渋滞だったのでしょうか。

毎月の最終の金曜日に、あらゆる自転車がハンブルクの中心市街地に集まります。シティーバイク、ママチャリ、タンデム、一輪車、バイクシェアリングの自転車、リカンベント、子供や犬などが乗っているリアカーを引っ張る自転車、折りたたみ自転車、シングルスピード、クルーザーなどです。スケボーもいます。カーゴバイクがスピーカーを積んで、音楽を流します。雨が降っても、暗くても、寒くても、人が必ず集まります。テーマ付きのクリティカル・マスもあります。暗い冬にいろいろなライトをつけて、ハロウィーンの際には仮装した人がいました。

クリティカル・マスが1990年代のアメリカで始まったものです。フラッシュモッブと同じように、集合時間と集合場所がインターネットで公開されますが、開催者や責任者がいません。「友達との楽しく走りましょう!」とはクリティカル・マスの考え方で、たまたま先頭を走る人がそのときの方向を決めます。クリティカル・マス・ハンブルクのリンクウェブサイトによると、「自動車が自動車を毎日に十分に邪魔しますので、自動車交通を邪魔するつもりはありません」。交通政策などに関する政治的なメッセージもありません。しかし、「自転車が楽しい」とは確かに通じます。

集合時間と集合場所が公開されるウェブサイトがもちろん警察にも観察されています。しかし、数年前までには色々と軋轢があったのに、ハンブルクの警察が最近なれてきた(あきらめた?)ようで、クールに対応してくれます。警察の車やバイクが横や後ろから車が突っ込まないよう、自転車を守ってくれます。

交差点を閉鎖する人が他にもいます。普通の参加者です。自動車を運転する人にクリティカル・マスのことを説明しても、全く理解できない人もいるようですが、面白がっている人も楽しむ人もいます。

クリティカル・マスが確かに少し野性的なものですが、ドイツの交通規則とは基本的に矛盾しません(それでも警察との軋轢は跡が立たない都市が数多くあります)。15台以上の自転車が明確に一つのグループとなっている場合は、専用の自転車道があっても、車道を走っても良いものです。交差点を渡る途中に信号が赤になっても、全ての自転車がいっぺんに交差点を渡ることができます。跡は自己責任です。(細かいことまで突っ込んだら、結構グレーなところに入りますが・・・)。

最大の人数が集まった今年7月末のクリティカル・マスのリンク動画がところで10分程で長いですが、どれだけの人が集まったかはよく伝わり、3:40分頃からは皆がハンブルクの街を走っている風景が見られます。

ビデオを見て、その気分になってください!


トップに戻るトップに戻る

航空戦
1943の空爆と大火で破壊されたハンブルクの街をさまよう人々。(撮影:Royal Air Force)

2013年9月24日(火)
「戦争があって良かった!」

「戦争があって良かった!」とは、戦時中と戦後直後に欧州各国の都市計画者が声をそろえて唱えたショッキングな感想です。今の人には皮肉にしか聞こえない発言ですが本人たちが本当にそう思ったようです。このことを今月ハンブルクの自由美術アカデミーにより開かれた展示会でわかりました。ハンブルクを初め、ロンドン、ロッテルダム、マルセイユやスターリングラード(現在のヴォルゴグラード)など、欧州各地の徹底的な「改新計画」を紹介されましたが、従来の街並みをなるべく残さずにつぶし、新しい街を作る意図が全ての計画に共通します。

無念で無意味の空爆を受けて粉々となったイギリスのコヴェントリーの写真には、当時の都市計画者が「こんなことが二度とあってはいけない!」と書いた展示物が得に印象的でした。なぜなら、あってはならないことが空爆ではなく、細い曲がりくねった道と中性の街並みだったからです。

中性の街や19世紀の立派な街並みが観光資源となり、住職の混合やコンパクトな都市構造が理想となっている今の人にとっては、当時の考え方が本当に理解不可能でしょうか。筋が十分に通ったはずです。

まずは密集地の不衛生の問題と急に大きくなった都市に関する不安がありました。

得に19世紀の産業革命の間に数多くの人が仕事のない農村から逃げて、都市に住み着きました。その結果としては無秩序に開発された都市が発生し、狭くて、暗くて、水道と下水道が不十分で、大勢の人が一緒に住み、共同の風呂やトイレを使い、犯罪や伝染病がはやりました。お金持ちの支配階級と生活スタイルがあまりにも違い労働階級が大勢に固まることが共産党や社会主義の元となり、当時の人にとってはさらに怖かったようです。

さらには、第一次世界大戦と第二次世界大戦の航空戦の体験が都市計画者にありました。

直撃を受けなくても振動で崩れる建物や火事で燃え上がった街区が目の前にありましたので、「空爆に強い街」を作る考え方が当然でしょう。衛生とゆとりだけではなく、「空爆に強い街」がたとえばフランスの建築家ル・コルブジエが提案した「輝く都市」構想の根拠にあります。要するに建物の間が拾い高層ビルの住宅に爆弾が当たる確率がある程度低く、火事が発生しても広がることがないでしょう。

豊かな暮らしのシンボルとなった車のために道を広げることがついでにできました。

空爆で破壊された街では区画整理と建物の取り壊しなどの手間が省きましたので、道路を広げ、職住分離を実現することが割合に簡単でした。自動車の台数がまだ少なかった戦前からは環状道路の整備計画、歩行者が居なくても自動車が多い再開発イメージ図や建物をつなげる道路の代わりに立派な道路沿いに合理的に配置される建築物が目立つようになりました。

当時の都市計画者が要するにお医者さんがメスを入れるように、古くて腐ったものを思いっきり切り抜けて、真新しい街を建設する共通の夢を見たようです。幸いなことに実現していない計画が多いが、ハンブルクなど、ドイツの都市を歩くと、当時の理念を反映する街が数多く見られます。戦争がなければどうなったのでしょうか。

しかし、2人の小さな子供を抱えたまま、ハンブルクで200回を超える空爆をなんとか無事に生き抜けたうちの婆ちゃんが当時の都市計画者の気持ちに同感できたのでしょうか。


トップに戻るトップに戻る

羊にソーラーパネル
羊にソーラーパネルをペルヴォルム島内のグリーンエネルギー発電所で見られます。リンク草刈り機がやはり必要でしょう。(撮影:Michael Schuchard*

2013年9月18日(水)
島の独立を図る

北ドイツ初のスマートグリッドが今月、ドイツの北海の島ペルヴォルムで実施されました。面積およそ27平方キロ、人口およそ1100人程度の島がその結果、ドイツ国内でも大変先端的なプロジェクトを抱えてきました。

この島の人々がかなり早いうちに再生可能エネルギーのポテンシャルに気づきました。初めての太陽子発電所が80年代前半にできあがり、風車がその後もどんどん増えてきました。海が近いので雲の流れが速く、日光時間が長い結果、太陽子発電も発達しています。島内のエネルギー製造が今でも島内のエネルギー消費の三倍にもなっています。しかし、風が吹かないとき、日が照っていないときは大陸からエネルギーをもらうことになっています。

連邦環境所が支援しているスマートグリッドプロジェクトが島内のエネルギー調整に注目し、大陸の発電からの独立を図っています。そのためには西海岸専門学校、フラウンホーファ研究所や地元の電力供給会社など、多くの研究所や企業が結束しました。

エネルギーの製造と消費やエネルギーの貯蔵を調整するスマートグリッドと風力と太陽光発電を中心としたハイブリッド発電所がこの計画に中心にあります。エネルギーを蓄えるためには、リチウムイオン電池とレドックスフロー電池が実験されています。島民がこのプロジェクトを完全に支持し、電気機器を省エネのものに買い換え、住宅のエネルギー効率を高め、省エネに関する大きな業績を出しました。

それでもペルヴォルム島が先端的な技術やはやりを好む大都会ではなく、普通の北海の島です。牛と羊、かやぶきの屋根、小さな漁港。広い干潟が有名で自然が豊かな国立公園に位置しているペルヴォルム島ですが、砂浜がないので観光客もなかなかよってきません。

島民の目がいいところに付いたのではないでしょうか。


トップに戻るトップに戻る

水上住宅
ハーフェンシティ付近に停泊している水上住宅のモデルルーム

2013年9月13日(金)
浮いて暮らす

住宅が極端に不足しているハンブルク市が水上の住宅を認めるようになりました。

今まで見られたほとんどの水上住宅がグレーな物で、建設許可もなく、停泊する許可も怪しいものでした。しかし、本格的で合法的な水上住宅が今年の夏に初めて可能になり、最初の2軒(2隻?)が中心市街地付近の遊水池に停泊(?)しています。

中心市街地の数多くの水路を住宅に使えないかどうかの研究が2005年に行われ、2006年には初めての計画案が作り上げられました。しかし、住宅そのものを計画整備するまでには、さらなる努力が必要で、数年かかりました。

結果としてできあがったもので居住面積115平米+面積55平米のテラス(つまりサンデッキ)を誇る水上住宅が決して安くありませんが、鉄筋コンクリートの浮きが少なくても100年持つそうです。全ての水上住宅が公共の電力、上水と下水と接続されるが、ソーラーパネルとバイオ浄化ユニットを設置し、都市のエネルギー供給と下水処理から独立しても良いそうです。暖房が大気と水の温度差を活かすヒートポンプです。

水上住宅の浮きが市内の造船所で製造されているので、危機に直面している都市内の造船業への貢献も話題になっています。住宅そのものが木造で、ハンブルク付近の専門会社によって整備されます。部屋割りを個人のニーズに合わせることができ、たとえば住宅とオフィスの組み合わなども可能です(いいなぁ・・・。しかし、1軒がおよそ50万ユーロで決して安くはありません・・・)。

建築の枠組み条件を決める建設令(BO)が効かなく、土地所有がなく、地籍台帳への登記がなく、その結果として済んでいる人の住所がなく、さらには上水や下水も電力もないのが以前、水上住宅の開発を困難にしました。


トップに戻るトップに戻る

電気自動車
会議の際に展示された電気自動車です。

2013年9月9日(月)
V2G会議

「V2G」とは「ビークル・ツ・グリッド」、つまり電気自動車の電池にたまっている電力を配電網に戻すことの省略です。ハンブルク応用科学大学が先週、「V2G」の会議を開きました。ドイツ語圏各地の専門家が参加し、送電網の開発、国際基準の特徴、電池の技術やハンブルク都市圏のV2G開発計画など、多岐にわたるテーマを議論しました。

V2Gがまだほど遠いことですが、ハンブルク市が電気自動車に関していくつかのプロジェクトを抱え、ドイツ国内でも先端的な取り組みを行っています。連邦建設・交通・都市開発省の「モデル地域」として出発した結果、電気自動車の数が350台まで登り、全てのモデル地域で走っている電気自動車の4分の1がハンブルク市内にあります。

流動的な風力発電を何とか安定化させようとしている電力会社がリードするドイツの電気自動車ですので、個人よりは企業や公共交通など、数多くの車を担っている法人が注目を浴びています。ハンブルク市が特に公共交通に関して進んでいます。電気自動車のタクシーが4台あり、数年前から水素電池の路線バスが走り、その数が徐々に多くなります。2020年以降は、全ての路線バスが再生可能エネルギーを使うことになるとされています。Sバーンがすでにグリーンエネルギーを使っています。巡北海のEUプロジェクトの一環として、電気自動車の貨物交通を検討することになっています。さらには、市内の充電施設に関するマスタープランを作成中であるそうです。

誰でもがどこの充電施設でも使えることがハンブルク市の特徴です。つまり、どの電力会社と契約を結んでもよいとのことですが、グリーンエネルギーの料金プランのみが条件です。電力会社との契約に基づきRFIDカードを渡してもらい、RFIDカードを使って充電施設を操作できます。

しかし、ハンブルクの電気自動車に関する計画が車両と充電みに着目せず、4つの主な柱を持っています。その一つは企業や役所の公用車において電気自動車を増やすことで、もう一つが住宅開発における電気自動車への配慮であります。三番目が従来の車に頼らないインタモーダル交通を促進することであり、4番目が2020年までに全面に再生可能エネルギーに乗り換える路線バスです。

電気自動車を増やしても、自動車交通量を減らさないと、都市交通の問題をやはり解決しきれません。


トップに戻るトップに戻る

2013年8月27日(火)
ハンブルク市内の先端的な乗り換え案内

ハンブルクの運輸連合HVVにおいては、先端的な乗り換え案内が登場しました。インターネットやスマートフォーンのアプリであるswitchhを使うと、公共交通、自転車やカーシェアリングの組み合わせが簡単になります。目的地を入力すると、どの交通手段をどう組み合わせば良いかの情報だけではなく、カーシェアリングの車がどこにあるかが確認でき、車をすぐに予約できます。さらには、カーシェアリングやレンタカーの割引もつきます。switchhを使いこなすと、車が本当に不要になります。

ハンブルク市内初のswitchh拠点が今年の5月末に開催されましたが、全体としては全市においての15拠点が予定されています。最初の2年間は、switchhがパイロットプロジェクトとして運用されます。全てのswitchh拠点においては、Sバーン、地下鉄、バス、バイクシェアリング、カーシェアリング、レンタカーとタクシーが揃ってあり、さらには屋根付きのバイク・アンド・ライド施設と鍵をかけて、自転車を安全に止められるサイクルボックスがあります。

新しい乗り換え案内サービスを使い、割引をもらうためには、HVVの定期券が必要です。学生用、通勤用、高齢者用など、どの定期券でもかまいません。switchhのオンライン登録を済ませると、身分証明書と運転面教書を提出し、カスタマカードをswitchhのサービスセンターからもらいます。1ヶ月10ユーロのswitchh料金が定期券の料金に加算され、口座から引き落とされます。契約が無期限で、解約が毎年の年末までに可能です。

日本と同様に、ドイツ国内の都市生活者がマイカーを少しずつ捨てていきます。車よりはスマートフォーンやタブレットPCがステータスシンボルになりつつあり、特に若い人にとっては「自動車を持つ」よりは「いろいろな交通手段を組み合わせる」方がはやってきました。スマートフォーンのアプリを中心にしたこの新しいサービスが彼らにとっては特に魅力的であるはずです。

若者の交通利用だけではなく、統計が市内のモビリティ文化が少しずつ変わっていくことを物語っています。ハンブルク市内では、公共交通の利用者、自転車やカーシェアリングが毎年増えている一方、特に中心市街地内の自動車利用が同時に減っていきます。市内およそ97万世帯のうち、44%が自動車を所有しません。さらには、居住環境の保護のため胃には騒音や(主の自動車交通から発生する)大気汚染に関する基準が欧州内でますます厳しくなっていきます。

ところで、「switchh」とは英語の「switch」(切り替える)と「自由ハンザ都市ハンブルク」の通常の略「hh」からなっています。1965年に設立されたHVVが世界初の運輸連合とされています。


トップに戻るトップに戻る

自転車と歩行者
ハンブルク市内の祭りに際して、歩行者が路面に描いた自転車や人の絵。

2013年8月16日(金)
自転車と鉄道がお財布の友!

今年の4月に発表されたフラウンホーファ研究所など、ドイツ国内外の3つの研究所が連邦環境庁の依頼を受けて実施した研究によりますと、低環境負荷の自動車技術を開発することみにより、自動車交通から発生する環境負荷を減らすことできません。環境負荷に関する5つの対策シナリオから発生する費用と便益が分析され、個人が担う負担、国内総生産への影響と2030年の雇用への影響が洗い出されました。もちろん、第三者にコストをかけるリンク外部不経済も研究されました。

自動車産業の人々が不満の声を上げるような結果ですが、投資費が高くても、自動車の効率向上をのぞいての全ての政策(つまり自動車交通を減らす政策)が全国経済にとっては好ましいことです。なぜなら、鉄道や自転車と道路の再構築などに投資する場合は、自動車産業が縮小しても、他の産業分野が成長し、それなりに雇用が生まれるからです。また、自動車に頼るモビリティと比べて、徒歩、自転車、公共交通やカーシェアリングを活かしたモビリティが安いので、消費者の余裕が大きくなり、他の経済分野も得するとされています。公共交通の促進と徒歩や自転車のアクティブな移動がさらに大きな健康費用削減を伴います。たとえば、1人ずつが1週間におよそ75分程度自転車に乗ると、ドイツ全国における経済効果が110~150億ユーロ(2013年8月現在はおよそ1.4~1.9兆円)にも上るそうです。

研究の結果としては、分析された5つの政策に関しての推薦が以下の通りに整理されました。

(1)中心市街地においては、自転車と歩行者を増やし、自動車を減らしましょう!
自転車と歩行者の空間を確保するためには、道路空間を再構築することが必要です。再構築に必要なお金を自動車の駐車料金やロードプライシングから得ることができます。また、自転車と歩行者が多いほど、自転車歩行者の交通安全が良くなるので、この政策が環境影響を減らし、交通安全をよくするので一石二鳥です。

(2)都市部における公共交通を促進しましょう!
速やかで安全に移動できる公共交通ネットワークと魅力的な車両により乗客数を増やすことができます。融資のために、自動車の駐車料金やロードプライシングを活かすことができます。さらに、交差点や信号機においての公共交通優先が肝心です。

(3)乗用車の走行距離を減らしましょう!
集約型の都市構造を促進し、住宅街付近のレクリエーション空間を拡大することにより、走行距離を徹底的に減らすことができる。自動車の利用を減らす金銭的なインセンティブ、自動車の通勤手当を取り消し、ロードプライシングを導入することが重要です。徒歩、自転車や公共交通を重視したモビリティマネージメントも欠かせません。

(4)自動車利用の効率を上げましょう!
なるべく小さい自動車をなるべく効率よく使ってもらうために、エネルギー消費がベースとなっている税金の導入が効果的です。燃料の消費量やCO2排出量に関する環境税の導入がさらに推薦されています。

(5)貨物をなるべく鉄道で運びましょう!
道路の消耗、交通安全や環境影響など、貨物を鉄道で運ぶ理由が多くあります。貨物鉄道への投資に必要である金額を大型トラックのロードプライシングから得ることができます。貨物鉄道の事業者を増やすことにより競争が厳しくなるが、消費者にとっては魅力的なサービスが発生するはずです。


トップに戻るトップに戻る

新型帆船
新型帆船の「ダイナリッグ」(撮影:Gaetan Lee*

2013年8月12日(月)
「船」+「再生可能エネルギー」=「帆船」?

「風」という再生可能エネルギーに頼る船がもちろん昔からあります。たとえば、昔ながらの帆船を使って、ハンブルク市とシルト島を定期的に往来するリンクトルベン・ハッス船長の取り組み島まで帆船で行こう!が最近、大きく注目を浴びています。

同じハッス船長がこれから進化した新型の帆船貨物船にも挑戦しようとしているそうです。新型帆船が「ダイナリック」を使い、「ダイナリッグ」というのは1960年代にハンブルク市内で貨物船のために開発された横帆です(「横帆」とはたとえば横浜にある日本丸などの大型帆船でよく見られるような長方形型の帆のことです)。ハッス船長が総延長140mでマストが4本ある貨物船を2隻作ってもらって、ドイツと南米を往来する予定だそうです。従来の横帆と違って、ダイナリックのマストが回転し、帆を柔軟に風の吹く方向に調整できますので、効率が抜群だそうです。オイルショックと石油の価格上昇に伴い、ダイナリッグが船舶会社の大きい興味を集めたことはありますが、石油価格がその後また下がったので、人の関心がまたさめました。ダイナリッグの船が結局は1隻しか製造されておらず、その1隻が総延長88mのヨットです。

伝統的な帆船の取り組みと同様に、ハッス船長がダイナリッグの貨物船に関しても主にエコのイメージを必要とする商品に目星をつけています。たとえば風力発電所のパーツ、高級のワインやコーヒー豆などがそのうちに入ると考えられます。1隻の貨物船にはおよそ8千トンの貨物を積むことができ、乗員が12名ですので、人手の数が同じ規模の普通の貨物船とは変わりません。その一方、大西洋を横断するために必要な燃料の量が従来の貨物船の20分の1で済みます。サービスが2015年に開始されるそうです。

また、帆船ではありませんが、ハンブルク港内で将来は知るかもしれない電気遊覧船も話題になっております。遊覧船を専門にした小さな船舶会社がこのアイデアを出しています。

ハンブルク港内の遊覧船が多くの橋の下をくぐらなければならないので、船体がかなり低いものではないと、使い物になりません。ディーゼルエンジンの船に関する安全条件が厳しくなっているので、この条件を満たす船を今造れなくなりました。その結果、100年ほど前に製造された船がそのまま動いています。安全上の問題はとりあえずありませんが、船を買い換えることは不可能です。

総延長22mの電気遊覧船ではこの問題が解決するとされています。エンジンの代わりにバッテリーと2つのモーターを積むプロトタイプが来年頃に公開される見込みです。リンク陸上電力供給と同様に、本当のエコを目指せば、もちろん再生可能エネルギーのエネルギー源を考えるべきです。

さて、この2種類のエコの船を将来、本当にハンブルク港内で見かけるようになるのでしょうか。来年以降の「シップウオッチング」が楽しみです。


トップに戻るトップに戻る

カールスルーヘ
カールスルーヘ市内の自転車交通。上から下:▶バーデンビュッルテンベルク州の自転車ロゴマーク▶自転車の逆走行が可能な一方通行道路▶自転車の左折車線▶自転車とトラム▶工事現場内の暫定的な自転車車線。

2013年7月23日(火)
カールスルーヘ市が成功したわけ

鉄道とトラムの総合乗り入れで日本でも有名なカールスルーへ市が実は幻の自転車交通モデル都市になりつつあります。2005年以降は、市が自転車政策に特に力を入れてきて、昨年は25%の自転車交通分担率を誇ることができました。25%とは実は2015年の目標でしたので、その目標の見直しが必要となりました。2002年の自転車交通分担率がところで16%でした。また、自転車が増えた分は、自動車が減りました。カールスルーヘ市がさらにADFCの今年のリンク「自転車乗り心地調査」においては全国の3位を占め、自転車人気の伸び率に関しては大変輝かしい1位を取得しました。

しかし、カールスルーへ市では、何が違うのでしょうか。

まずは2005年の自転車交通促進計画の他に、持続可能な交通発展を重視した2013年の交通計画が挙げられます。この二つの計画とその実施がやはり徒歩、自転車と公共交通を重視する政治的決断(と政治家の団結)がどれだけ重要かを物語っています。建設市長によりますと、「自動車が何十年も優先されたので、自動車の特権を奪わないと、平等な交通に達することができません」。建設市長がところで緑の等の人ではなく、保守派で、企業を最優先にする自由民衆党(FDP)の人です。信じられますか?

2005年以降は、市があらゆる機会を生かして、自転車の促進に力を入れてきました。毎年2つの自転車ルートを整備し、標識を立てることになっています。そのためには、毎年130万ユーロの予算が用意されています。道路の最舗装やトラムの工事などがあった場合は、工事前の状況を再現するのではなく、ついでに自転車の走行空間を改良することになっています。自転車が必要とする空間を確保するためには、思い切って自動車の車線を減らします。縁石の移転が高いので、歩道ない自転車道よりは車道内の自転車車線確保が優先となっています。車道内の左折を怖いと思う人が多いので、左折車線や自動車の停車線の前にある自転車専用の停車線を用意し、自動車の空間を減らします。歩道橋や歩行者トンネルを解消し、街を分断する大きな幹線道路を渡りやすくします。工事現場が発生した場合は、暫定的な路面標示や迂回路を自転車にも指定し、自転車と自動車を同等に扱います。

自転車交通を成功させようとしたら、ハード整備だけでは間に合いません。市がそれなりにPRにも積極的に力を入れています。連邦環境省の「頭のスイッチを切り替えて、エンジンを消しましょう!」キャンペーンに参加してから、市が同じキャンペーンを独自で続けてきました。目的は自動車から公共交通と自転車への乗り換えを促し、環境負荷を減らすことです。リンク「自転車で通勤!」キャンペーンの開催式や「自転車に優しい雇い主」の選定が経済界における自転車に関する意識を高めようとしています。市内に引っ越していく大学の一年生が参加できる自転車のくじ引きもありました。

建設市長によりますと、市内の雰囲気がすっかり変わりました。大型をのぞいて、自動車交通が実際に減り、自転車交通が明らかに増えています。メディアが自転車に関するニュースを嬉しく取り上げ、自転車のライフスタイルを歓迎するようになりました。自動車の環境悪化に関する市民の苦情もほとんどなくなってきたそうです。

道路がやはりごきぶりホイホイのようなものですね。自動車の道路が自動車を招き、自転車の道路が自転車を招きます。


トップに戻るトップに戻る

自転車保護車線
市街地外の自転車保護車線に関する社会実験。

2013年7月12日(金)
市街地外の道路に自転車の車線?

自転車保護車線の実験が現在、市街地外でも実験されています。自転車保護車線がドイツ各地の市街地内で存在しても、市街地外の自転車保護車線指定が基本的に不可能です。道路と平行する自転車道を整備するか、車道を走ってもらうかしか、選択肢がありませんでした。

市街地外の自転車保護車線に関する研究を行い、市街地外の保護車線が本当に安全かどうかを確認することです。自転車が通行することを明確にし、自転車の関する意識を高めることが重要な目的です。

効果を確認するためには、走行速度の確認、自転車と自動車の行動の確認、追い越しの際における横の車間距離の確認や運転者と自転車をこぐ人への聞き取り調査が予定されているそうです。

自動車が1日4千台以下の道路が対象となり、速度制限を70キロに指定します(市街地外の全ての道路の速度制限が100キロとなっていますが、それほど飛ばせない道路が今でもざらに存在します)。中央の誘導線を取っ払い、保護者線により囲まれた自動車の車線の幅を少なくても2.75mに指定します。自転車保護車線の幅員がそれぞれ1.25mです。市街地内と同様に、自動車が自転車保護車線の間を走るべきで、対抗者が来ると自転車保護車線に踏み行っても良いとされています。

連邦交通・建設・都市開発省がこの実験を行い、全国15地区を実験地区に選定しました。そのうちの3地区がハンブルクの近くにあるシュトルマルン郡にあります。そのうちの一つが3.1キロで割合に長く、一つが自動車1日3148台で交通量が多いのです。実験期間が2013年と2014年の2年間です。

ブログやADFCのページへのコメントを読んで、他の利用者と話すと、市街地外の自転車保護車線の評判が人それぞれです。平気に自転車保護車線を通る自動車、どう見ても70キロ以上で飛ばしている自動車や危ないところで追い越す自動車がある一方、自転車が自信をもってもっと真ん中よりで安全な場所を走り、自動車の走行速度が前と比べてゆっくりとなりました。

自分で走ってみても同感です。自動車交通量が少ない区間においては問題がありませんが、交通量が多い道路においては無理に追い越す車がいるので、怖い場合があります。

研究結果が楽しみです。


トップに戻るトップに戻る

風車
「風車に牛」とは、北ドイツで度々目にする風景です。

2013年7月8日(月)
「2040年までにCO2ゼロ」と、野心的な計画を持つ都市

ハンブルクに隣接するノルデルシュテート市(人口約7万5千人)が昨年、連邦教育研究省の「未来会議事業」に参加しました。この事業の枠組みにおいては、16市が同省からそれぞれ250.000ユーロを受けて、「気候影響ゼロ都市」に関するアイデアを磨くべきです。

ノルデルシュテート市の持続可能な発展に関する業績がすでに見事です。市が専門部署を設立し、CO2の排出量を1990年比で3割減らすことに成功しました。CO2ニュートラルの都市(つまり、市内で消費するCO2より多くのCO2を排出しない都市)をめざし、市の2040年までの目標がさらに野心的です。未来会議を通して、市がCO2削減に関する市民のアイデアを募集したわけです。エネルギー消費を削減すると、旅ができる。建物の断熱をよくすると、不動産税が安くなる。カーフリーゾーンを導入する。など、市民のアイデアが多岐にわたりました。通勤の効率向上、太陽光発電と地区内のエネルギー貯蔵を目指した住宅地の開発やスマートグリッドの促進が結局、重点的なプロジェクトに選ばれました。

市内においては、ディフォールトの電力供給者である市公社がスマートグリッドの鍵を握っています。今年の3月末には、市公社が家庭内の電力消費と機構保護を詳細に探る質問票を3万1千家庭に送付しました。エネルギー供給の効率を上げるために、市公社がお客様の洗濯機や冷凍港などの電気機器を直接に操作しても良いかなどの質問もあったそうです。大学の協力を得て市民からの回答を分析した上で、具体的な政策を検討することはこの前例のない質問票の目的です。

スマートグリッドの他に、市公社が節電に関する意識向上、風力発電や太陽光発電の促進や家庭に配布するスマートメータに関してがんばっています。データ通信のために通信会社の協力を得て、市公社がスマートメータをすでに1000家庭に提供しました。スマートメータを使って、消費者がそのときそのときの電力消費を分析でき、どの機器がいつどれぐらいの電力を消費するかを確認できます。その結果としては、消費者が上手く節電できることが期待されています。

エコの料金プランを選ぶと、市公社のお客様が皆、再生可能エネルギーへの促進に投資するだけではなく、「お客様の顧問会議」の会員となります。「お客様の顧問会議」が新たな投資や促進するべきプロジェクトなどの決定を影響でき、市公社の行方に関しては大きな影響力を持っています。

市公社がさらに年間100万ユーロを子供の教育に注ぐことになっています。やはり、小学校の頃から節電や再生可能エネルギーを勉強すると、大人になっても意識が高いと、期待されています。


トップに戻るトップに戻る

地方道路
無理な追い越しから発生する正面衝突事故が問題となっているドイツの地方道路の一つ

2013年7月2日(火)
地方道路の新しい整備基準「RAL」

皆が待ちに待っていた「地方道路に関する整備基準(RAL)」が今年の6月にとうとう、道路・交通研究協会(FGSV)により公開されました!

地方道路の連邦道路、州道路と郡道路を今後、4つの「設計クラス」に分類し、それぞれの設計クラスに応じて車道幅員、誘導線のあり方や追い越し車線の有無などを決めることになっています。

設計速度が110キロの「設計クラス1」の道路が長距離道路で、立体交差点のある自動車専用道路となります。「2+1車線道路」とも言われ、各方面には追い越しができる空間が交代に十分に確保されますので、車両が対向車線に出ることができません。設計速度が100キロの「設計クラス2」の道路が基本的に追い越し禁止の2車線道路ですが、各方面には追い越しできる車線が十分に確保されています。交差点が信号機のある平面交差点です。設計速度が90キロの「設計クラス3」には自転車交通が場合によって車道内で可能で、交差点が主にラウンドアバウト交差点となります。また、設計速度が70キロの「設計クラス4」が短距離交通の道路であり、自転車も農業機械も通行可能です。交差点が普通の平面交差点です。

RALの新しい整備基準を導入することにより、無理の追い越しから発生する正面衝突を減らすだけではなく、それぞれの道路に適切な運転を招くことが期待されています。それぞれの主な設計エレメントが明確に異なる4種類の道路しかないので、これらの道路は道路利用者が適切な速度などを直感的に把握できる「セルフ・エキスプレーニング・ロード」とされています。

真ん中の誘導線が緑色の実線となっている「設計クラス1」の道路と、両側の誘導線が白い破線となっている「設計クラス4」の道路が今までの整備基準と矛盾するためには実験的な整備事例はありますが、基準に基づいて整備された「本物」の道路がまだありません(その結果、写真の数もまだ少ないようです)。整備基準が新設の道路や道路の大規模の改造工事に適応されるので、設計基準に基づく道路が普及するまでに時間がかかりそうです。しかし、既存道路を評価し、デザインを適切に会わせることも基本的に可能とされていますので、ドイツの道路が少しずつ変わるのではないかと思います。

整備基準の作成が14年ほどかかったそうですが、設計速度と速度規制の統一に関してはかなり分厚い壁が立ったことはその原因であったようです。縦割り行政がやはりどに行っても大変です・・・。


トップに戻るトップに戻る

ブリストル
ブリストル駅内の駐輪場(撮影:Tom Jolliffe*

2013年6月30日(日)
欧州グリーン首都

2015年の欧州グリーン首都が決まりました!イギリスのブリストル市です!

2010年のリンク自転車に関するブリストルの調査に参加して依頼、ブリストル市の自転車政策に関心を持ってきました。昨年はスペインのビトリア・ガステイス市で開かれたCIVITAS会議でも、ブリストルの話をいろいろと聞き、市が環境面で本当にがんばっていると感動しました。

以前の欧州グリーン首都コンテストでも、ブリストルがトップランナーに入ることができました。ブリストル市が2015年の欧州グリーン首都となることが6月19日に欧州委員会により発表されました。今年の欧州グリーン首都がフランスのナント市で、来年の欧州グリーン首都がデンマークのコペンハーゲンです。

ソーシャルメディアの活動や大きなイベントなどを含む環境意識向上キャンペーンだけではなく、交通政策やエネルギー政策の内容と予算が大変ほめられました。市が今までも努力した結果、市内の経済が成長してもCO2の排出量が大きく減り、特に「ローカーボン産業」が嬉しくなるほど伸びました。ブリストル市、これからもがんばってください!


トップに戻るトップに戻る

ロストフ・ナ・ドヌ
ロストフ・ナ・ドヌの中心市街地(撮影:xadeptx*

2013年6月14日(金)
ロストフ・ナ・ドヌ

5月には実は、ロシアに行ってきました!場所は黒海に近いロシア南部のロストフ・ナ・ドヌ市でした。きっかけがEUによりロシア各地で開かれるイベントの「ヨーロッパ・デー」でした。ヨーロッパ・デーの主な目的はもちろんEUの宣伝ですが、デンマークがイベント開催に関しての重要な役割を果たしているせいか、環境保全やグリーンな暮らしを主なテーマにしたイベントの自転車色が大変濃かったです。

「自転車の話をしてくれるドイツ人が募集中」という話がなぜか私に回ってきたので、もちろん、行くことにしました。準備時間があまりにも短くて、ビザを取ることが一苦労でしたが、ロストフに着いてみたら、面白い世界が目の前で広がってくれました。ドイツ語も英語も(もちろん、日本語も・・・)通じない世界で、珍しくかなり不自由したところですが、街を歩いて、人を見るだけでも大変楽しんできました。おまけに、5月のハンブルクと比べてお天気に恵まれて気温が高く、過ごしやすい数日でした。

しかし、街をぶらぶら歩くだけではありませんでした。ゴミ減量のディスカッションと自転車交通のイベントに参加することになっていました。特に自転車のイベントが1日ほどかかり、大変楽しいことでした。中心市街地の劇場広場からスタートする自転車のパレードがメーンでしたが、ロストフ・ナ・ドヌが自転車にとってまだまだ走りにくいロシアの街であっても、自転車が1000台ほど集まったそうです!人々が大変熱心で、気合いを入れて中心市街地を走り回ったので、一緒に走らせてもらうことが大変楽し体験でした。一緒に走って友達になってくれた人が撮影した外部リンクビデオがありますので、もしよろしければご覧になってください。

自転車のパレードが終わってから、皆で自転車で「クリエーティブ・スペース」というところまで移動し、パネルディス火ションをすることになっていました。「クリエーティブ・スペース」とは転用された倉庫で、まさに想像力(と自転車)に富んだ空間でした。デンマーク大使館の人、地元のバイクシェアリングシステムの事業者、市行政の代表者と私がパネラーとなっていました。コペンハーゲンとハンブルクの自転車事情に関する発表が結局、地元の人々にとって夢のような話だったようですが、「地元の自転車コミュニティと行政の代表者がこれで初めて直接に議論し、皮切りに成功したようです」と、EUの代表者が満足しました。

数日だけの体験でしたが、私にとっては間違えなく実りの多い時間でした。ロシアの現状を確認できたし、地元の面白い人間に出会えたし、ロシア南部のリラックスした都市を満喫できました。EU、ありがとう!


トップに戻るトップに戻る

折りたたみ自転車
港に止まっている折りたたみ自転車

2013年6月12日(水)
折りたたみ自転車

ハンブルクでは、折りたたみ自転車が最近増えていきます。特に「TERN」というメーカーの白い自転車やシルバー色の自転車が目立ちます。

よくよく見ると、全ドイツ自転車教会のリンクADFCと、地域の運輸連合であるHVVのステッカーが自転車のフレーム張ってあります。両方ともが協力した結果、この自転車が市内で安く販売されていることが特徴です。

ハンブルクでは、自転車を無料に地域内公共交通の電車、地下鉄、バスや船に持ち込むことができますが、通勤時間帯のみが完全にだめです。しかし、折りたたんでいる折りたたみ自転車が日本と同様に荷物となり、持ち込みがいつでも可能です。しかし、日本の電車と違って、自転車専用の袋がハンブルクの場合は不要です。平日の朝の6時~9時、午後の4時~6時には普通の自転車がつまりだめですが、折りたたみ自転車がokです。

この折りたたみ自転車の販売を促進することにより、公共交通事業者とADFCが手を組んで、公共交通と自転車の組み合わせを促進し、自動車に頼らない生活をさらに便利にさせようとしています。ところで、ADFCとHVVの折りたたみ自転車を買う人が、自転車専用の市内地図やADFCへの会費が1年間無料となるクーポンがついてきます。

同じような取り組みがミュンヘンにも、シュツットガルトにもありますが、ハンブルクの折りたたみ自転車の売り上げが抜群です。今年の春に発売されたばかりですが、最初の1ヶ月以内にはほぼ200台が販売されたそうです。ハブギアがなく、ディレーラーとなっているので、ハンブルクの折りたたみ自転車が549ユーロで販売され、お得とされています。さらには、車輪が小さくて、車体が短くても、普通の自転車にほとんど負けない、乗りやすい折りたたみ自転車で評判がよいものです。

おしゃれで便利なので、絶品です!


トップに戻るトップに戻る

自動車交通のコスト
びっくりするほどの費用が自動車交通から発生します。

2013年3月4日(月)
自動車交通が社会経済を大きく負担するわけ

ドレスデン工科大学の道路交通学部交通環境影響学科が2012年10月に、EUにおける27カ国の自動車交通から発生する「外部不経済」に関するリンク調査報告をまとめました。「外部不経済」とは、普段は直接に発生するコストとして計算されず、原因者が払わない費用のことです。既存の文献を分析・再整理するこの調査の対象となった主な費用が交通事故、大気汚染、騒音や気候変動などで、年間の全額が約3730億ユーロ(EUの全人口1人あたり年間750ユーロ、自動車1台あたり年間1,600.00ユーロ)です。この金額がEU域内の総生産の3.0%にも相当します。

それぞれの国の統計に基づく推算で、国を渡る通過交通や国外からの通学通勤などが無視されて、それぞれの計算がそれぞれの国内総生産に基づくので、ある程度の誤差がありますが、総額が目安としてあっているそうです。毎年発生する約3730億ユーロの外部不経済に対する税収がないことも明らかです。その結果、外部不経済を負担するのは原因者ではなく、将来の世帯、自動車を所有しない者や他の地域に暮らす人々です。その結果、自動車の運転から発生するコストに関する意識が一般的に低く、自動車に乗りすぎて、欧州中に渋滞を起こす人が多いそうです。

この調査の結果、ドレスデン工科大学が早速のモーダルシフトを支援する政策を欧州レベルの政治家に求めています。EUの機関が自動車交通の外部不経済を定期的に計算し、自動車交通にそれなりの値段をつけるべきであると、調査報告書が強調しています。自動車に頼らない生活を可能にするために、他の交通手段を同時に促進するべきだそうです。

自動車技術の開発のみに力を入れても、問題を解決できません。電気自動車を促進し、エネルギー効率を上げても、排気ガスによる環境影響が経るかもしれませんが、自動車交通から発生するその他の外部不経済を補うことが不可能です。EU居住者のモビリティ習慣が変わらないかぎり、交通事故や自動車だらけになった都市空間の劣化に足止めをかけることができません。自動車技術の開発のみに頼ると、温室効果ガスの排出量を予定通りに2050年までに60~80%減らすことが困難であることがさらに指摘されています。

効果的な政策がむしろ外部不経済の内部化(つまり値段をつけて、原因者の負担にさせること)、モビリティの価格への影響、車両技術の促進、土地利用の変更や化石燃料を使う自動車の時間的・空間的な規制などの組み合わせとされています。


トップに戻るトップに戻る

ウンディネ号と似たような船が昨年、フレンスブルクの「ラム酒レース」に参加した。

2013年2月16日(土)
島まで帆船で行こう!

来週からは貨物の大型帆船に乗って、ハンブルクから北海のシルト島まで出かけることができるようになります。大型帆船である訓練船の「ゴルヒ・フォック」でかつて勤務していた船長のトルベン・ハッス氏が貨物と乗客を積んで、定期的にエルベ河を下って、北海を渡って島まで行くことができます。距離がおよそ200キロで、片道がお天気次第に15~20時間かかります。乗客が8名まで乗れますが、切符は一人当たりは99ユーロです。

いきなり大型帆船の運送サービスを設立させることは大変勇気の必要とすることです(銀行もお金を貸してくれなかったそうです)。しかし、全長およそ40メートルウンディネ号がトラック3台と同じぐらいの量の貨物を積むことができ、直接に島まで行くことができるので競争力があると、船長が自信満々です。トラックを使うと貨物を船に詰め替えるか、トラックごとに鉄道に乗せるダムを渡る必要があるので、運送費がトラックと変わらないそうです。しかし、帆船がもちろんトラックほどのスピードが出ないので、時間が倍近く長くなりますが、船で運ばれた貨物に特別なシールを貼ることにより、(お金持ちの)観光客に人気のあるシルト島でものがよく売れると推測できます。

ウンディネ号が1931年にオランダで貨物船として就航した。ドイツ、フィンランド、イギリスやノルウェイの間に第2次世界大戦まで往復し、戦争の間に海軍の仕事をせざるを得ませんでした。戦後は帆船出なくなったが、ディーゼルエンジンを積んで貨物船としての役割をそのまま果たした。80年代にまた改造され、帆船のの元の形に戻され、ハンブルクのNPO法人がウンディネ号をいろいろな社会問題を抱えている青少年の社会教育に使った。今の船長がウンディネ号を昨年購入し、小さな帆船船舶会社を設立しました。国際的に貨物を運ぶ帆船が他に存在しないことは彼がウンディネ号を選んだ一つの理由で、社会福祉プロジェクトの補助金が大きく削減され、NPO法人が船を売らなければならなかったことがもう一つの理由だったそうです。貨物と乗客を上手く見つけて、帆船の航海がうまくいくと将来は新しい船を買って、企業を拡大することは船長の夢だそうです。

ウンディネ号が火曜日に石畳舗装のための石とラム酒を積んで、まずフレンスブルクからシルト島まで出発すことになっています。

雪が降って、寒いのに。乗ってみることをやはり夏にしよう。


トップに戻るトップに戻る

ドイツの自転車政策が不十分?

2013年2月7日(木)
自転車の乗り心地調査

自転車団体のADFCと連邦交通省が今月に最新の「自転車乗り心地調査」の結果を発表しました。人口20万人以上の都市に関しては日本でも有名な自転車都市ミュンスター、1万~2万人都市に関しては、市長が自転車政策に大変力を入れているエルランゲン、1万人以下の都市に関してはルール工業地帯のボッホルトがトップを占めました。

しかし、2005年に行われた前回の調査と比べて、特にトップらナーの評価が下がりました。その一方、自転車の乗り心地が大きく良くなった都市が少ないので、今回は電車とトラムの乗り入れで有名なカールスルーヘや少しずつ自転車に力を入れてきたヴィルヘルムスハーフェンが注目を浴びています。

自転車乗り心地の評価が全体的に悪くなった背景には自転車インフラの劣化があるのではなく、自転車の人気に伴って高まってきた利用者の期待があると、ADFCの代表者が強調しています。戦後の数十年の間に自動車の速やかな移動を中心に整備されたドイツの道路ネットワークを短期の間に再構築することはやはり難しいといえます。それにも関わらず、都市が力を入れて、大きく伸ばした分野が利用者に歓迎されます。例えば回答者数が圧倒的に多かったハンブルクでは数年前に導入されたバイクシェアリングや近年の間に面的に行われた一方通行道路の自転車逆走許可が大きく評価されています。その一方、主に60年代や70年代に整備された、狭くて穴だらけの自転車道ネットワークが大きなブーイングを受けました。ハンブルクは決して自転車の天国ではありませんが、回答者が非常に多かったことが市民の自転車への関心を物語っています。

自転車ののり心地調査が不定期的に行われ、自転車に乗る人の感想を調べるものとなっています。「我々の街では自転車に乗ることが楽しい」、「自転車が平等の交通手段である」、「行政が自転車に力を入れている」、「除雪がちゃんと行われる」、「安心して自転車に乗れる」、「自転車の走る道がわかりやすい」など、自転車利用、ネットワーク整備や交通における思いやりに関する27の問いを「とても当たっている」から「とても違う」までの6段階に評価できる。今年の5回目の「自転車の乗り心地調査」には約8万人の回答があり、332都市が評価のために必要であった最低限の回答数以上の回答を受け、ランキングに登場した。


トップに戻るトップに戻る

田舎の暮らしが楽しいものですが、案外なところでお金がかかります。

2013年1月30日(水)
田舎の生活が本当に安いでしょうか?

ハンブルク市内のハーフェンシティ大学がハンブルク市とその周辺の住宅費用とモビリティ費用を確認できるリンクサイトを2009年に発足しました。このサイトが2006~08年に行われた研究プロジェクトの一つの結果でしたが、研究の主な目的は都市開発のために失われてくる発生する費用を明確にすることにより、自然環境の破壊に歯止めをかけられるかの確認でしたでした。行政のためにも、インフラ整備から発生するメンテナンス費などを推算できるソフトがところであります。

家を購入しようとする人や住宅地を開発しようとしている自治体が家賃と税収のみを当てにし、モビリティから発生するあらゆるコストを無視する傾向にあります。その結果、インフラのメンテナンスや毎日の移動から発生するコストにびっくりする人が多くいます。地価が安い郊外での家が広いので、暖房費などのエネルギー費用も高くつきます。また、移動に関してはガソリン代を意識しても、自動車を持つことから必ず発生する固定費に関する意識が低いといえます。

それでは早速ネット上の計算機を実験しましょう。

先日は高校時代の同級生と会いました。家賃が安いのでハンブルクからおよそ30キロ離れた農村で暮らす人とハンブルクの中心市街地に暮らす人がいましたので、この二人を事例にしましょう。比較のために両方ともが大人のカップルの2人世帯で、共働きのために収入が毎月2050~4100ユーロにしましょう。田舎の人が90平米の賃貸住宅に暮らし、都市内の住宅がやや狭く80平米にします。両方ともが新設ではなく、既存の建物です。

さてと、計算の結果を比較をしますと、市内の家賃が高くてもお得です。住宅から発生する費用が877ユーロで、田舎の821ユーロより安いですが、421ユーロのモビリティ費用が田舎の740ユーロより明確にやすいのです。家賃、エネルギー費とモビリティー費をあわせると、市内の住宅が田舎の住宅より毎月263ユーロ安くなっています。通勤に必要な時間や毎日体験する通勤ラッシュのストレスをさらに考えると、都市型の生活が急に大変安く感じます。

それでは、違いはどこにあるのでしょうか。

田舎に暮らすと車が欠かせないので、2人世帯が自動車を平均的に1.86台持つことになっているが、都市暮らしの場合の平均が1台ですみます。減価、税金や保険を含む費用が台数によりますので、田舎暮らしが高いことは当たり前でしょう。通勤の距離が都市に暮らす人の3倍と想定されていますので、ガソリンや消耗品に関する費用がそれなりに発生します。都市に暮らすと公共交通が便利で、毎月18ユーロを使うことが推定されています。その一方、公共交通がもちろん乏し田舎では公共交通の費用がほとんど発生しません。

オンラインの計算に使われているデータがところで一般の統計データです。州や連邦の統計局、専門行政や経済と市場を分析売る企業が集めたものです。市街地が30のタイプに分類され、住宅がさらに30のタイプに分類されました。計算の結果が一般化されたものですが、自分のモビリティに関する詳細なデータを入力すると、もっと信頼できる結果が出ます。車があるかないか、車の種類、暖房費と電力費など、詳細設定が可能です。

いろいろと遊べますので、今度は今住んでいる街の生活費を確認しましょう・・・。


トップに戻るトップに戻る

どんな都市があなたの理想都市でしょうか?

2013年1月22日(火)
理想的な都市とは…

ハンブルクの地方紙が昨年の秋から市内の道路評価を公開してきました。住んでいる人による書き込みが歓迎され、人が全市の道路をどう思うのかがわかってくる長期プロジェクトです。

ハンブルク市民がどんな道路を好むかは一つの結果です。個人の好みがもちろんありますので静かな生活道路や生き生きした中心市街地の道路、どの道路にも存在の価値がありますが、人が「欧州都市」の理想に同感することがわかります。

研究者が定義した「欧州都市」がまさにこのような空間です。「欧州都市」が純粋の住宅街よりは、住宅、店舗、オフィスや小さな工場が混ざってある伝統的な都市構造を意味しています。通過交通は望まないが、住んでいる人や配送車両のアクセスを確保するべきです。

しかし、空間利用だけではなく、人口も多様であることが重要です。若い人だけ、高齢者だけ、低所得者だけ、家族だけ…地区社会が偏ってしまうと退屈が生じてしまうか地区のイメージ(と価値)が下がってしまうなど、望ましくない結果が生じやすい。

ハンブルクなど、ドイツ各地では19世紀末に開発された住宅街が流行ってきた背景がそこにあると思えます。広い住宅と狭い住宅があり、豪華な住宅と小さい店舗があり、裏のこじんまりした中庭や工場があるので、当時開発された住宅街が一人暮らしの人にも家族にも人気を持っています。このような住宅街が中心市街地に近いので、公共交通や自転車がさらに便利です。


トップに戻るトップに戻る

最終更新:2014年12月31日
© Susanne Elfferding. All rights reserved.

カーゴバイクの写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Frilius。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクCC-by-sa 3.0/de。 ペルヴォルムの写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Michael Schuchard。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 3.0 Unported License。 ダイナリッグの写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Gaetan Lee。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 2.0 Generic License。 ブリストル駅の写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Tom Jolliffe。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 2.0 Generic License。 ロストフの写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:xadeptx。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 3.0 Unported License