都市のど真ん中に羊を見たことがありますか。私が初めて羊に出会った都市はルール工業地帯のカストロプ=ラウクセルです。中心市街地付近の公園を散歩したら、放牧されている羊の群れ、羊飼いと犬5匹がいました。羊飼いは珍しく女性でした。
羊飼いと話してみれば、都市内の緑地で羊の群れに出会う確率が案外高いことがわかりました。羊がコストパフォーマンスの優れた草刈り機として使われ、ついでに肥料もばらまいてくれるからです。モーターがついている草刈り機と異なり、排気ガスが発生することがなく、さらにはチーズの生産に使われている羊乳、ウールや肉が得られます。もちろん、放牧されている羊は子供や観光客にも大人気です。
ケルン・ボン空港にも羊がいます。その場所は空港に隣接する5千ヘクタールの「ワーナ=ハイデ(Wahner Heide)」の草原です。ヨーロッパ各国で保護されている、珍しい動植物が700種類以上生息する重要な自然保護地区で、ドイツの自然保護法に基づき、空港運用の環境影響を減らすことが必要となっています。そのための対策の一つとしては、空港事業者がこの自然保護地区内で放牧されている羊を飼い、毎年約50万ユーロの関連費用を負担しています。
環境対策としての羊は最近ですが、「ワーナ=ハイデ」で羊を飼う歴史が長い。今放牧されている「ベントハイマ羊」の種が18世紀にも同じ地域に飼われました。病気に強い、丈夫な種ですが、農業改革のために非常に珍しくなったこの羊を保護する価値が認められ、「ベントハイマ羊」が伝統的な家畜種として「2005年の家畜種(Haustier des Jahres)」に選ばれました。
景観の維持管理に羊を使っている市町村の数が確かに増えつつあるようです。例えばヘッセン州ダルムシュタット市付近のグリースハイムと言う小さな街では、羊を元のごみ捨て場で放牧することになっています。再自然化中のごみ捨て場の植物はまた乏しいが、植物の種が羊の毛皮にくっつき、羊が植物を増やす重要な役割を果たしています。低木を食べている羊がさらに、新しい植物の育つ環境を改良しています。
または、バイエルン州のフライジングでは、羊が城山にいます。100年以上前からの珍しい果樹で有名な城山が重要なビオトープと判断され、その維持管理が重要な課題とされていますが、人間による手入れは人件費が高く、城山内で放牧されている羊が経費削減に貢献しています。
なお、北ドイツでは羊が古くから堤防の維持管理に使われています。草を食べ歩きながら、羊がその脚で堤防の土を固めて、モグラの穴をつぶすので、堤防を強くする効果は大きく評価されていました。さらに、羊がいると草が高くないらないために、地面に近い草の根が強くなり、堤防の耐久性があがります。長い根が堤防を弱くするアザミも羊に食べられますので、羊が大昔から北の人間の命を救っています。ところで、堤防の斜面でこけないために、片側の足は短い羊がある噂もありますが、本当でしょうか。
全く変わった取り組みもあります。例えば、ベルリンのアードラスホーフ地区では、羊に害を与えない染料でピンク色に染められた毛皮の羊が1999年に駅付近で放牧されまし。都市居住者に刺激を与えることはこのアートプロジェクトの目的でした。またはオランダでは羊に宣伝印刷のあるカンバスをかぶらせた旅行会社もありますが、この旅行会社が羊の悪用と景観への影響のために大きな非難を浴びました。
なお、羊だけではなく、元々はドイツにいた野生動物に近い牛や馬の種も最近景観や環境関連の取り組みで半野生の草刈り機にすることがあります。
最終更新:2006年8月8日
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(1)ケルン市ないの羊の写真はウィキメディアコモンズの写真に基づきます。 撮影:Túrelio。 ライセンス:Creative Commons Attribution ShareAlike 2.5 License。