(*鉄道の好きな女は「鉄子」なら、道路に興味のある女は…?)
「青少年建築工房」 || ハンブルク市:自転車都市への道が開く || 商店街の駐輪禁止とは、商店街の自殺行為 || 風力発電の街灯が新登場 || 全市を30キロ規制に || 公共交通ボランティア || 観光地として人気のある島が「プラスチックのゴミゼロ」の方針を打ち出した! || SRLに入会しました! || 再出発
家具、建物や庭園など、歴史遺産に興味を持つ国内外の青少年が1年間、ドイツ文化財保護財団の「青少年建築工房」に参加できる。参加する青少年が16~26歳のボランティアで、伝統的な工法、道具や材料を勉強しながら、本物の歴史遺産を修復します。国内14の工房においては、合わせて300人ぐらいの青少年が一緒に暮らし、勉強しながら仕事をします。史跡遺産に詳しい大学の先生や伝統的な工法に詳しい、熟練した職員などが若者の指導者となります。このように、青少年が仕事の世界を体験しながら、自分が向いている職種を探すことができます。
参加したい青少年がドイツ文化財保護財団に応募します。学校を卒業したことが条件ですが、特別な教育や知識が不要です。1年間の青少年建築工房の休暇が26日間で、社会保険、教育や(本当に小さい)補修が込みです。青少年建築工房がそのまま宿舎となっている場合もありますが、その他の場所では部屋を探す支援も受けられます。
青少年建築工房のテーマが地方によって異なります。ライン・ルール地方では工業遺産、リューベック市では海洋関連の遺産、トューリンゲン州では考古学遺産、シュターデではれんがとわらぶき屋根の建物、シュトラールズントでポーランドの国境をまたがるプロジェクト、体験できることが多岐にわたります。
ハンブルク市内の青少年建築工房がなくても、青少年建築工房により修復されている農家があります。関わっているのは、近くにあるシュターデの青少年建築工房です。目的が1547年に建設された木組みの農家を修復することがこのプロジェクトの目的です。市内の一番古い建物とはなっていませんが、農家としては、北ドイツ地方でも非常に古いといえます。
また、この建物の修復を通して、ハンブルク市内にも青少年建築工房を設立することがこのプロジェクトのもう一つの目的となっています。いろいろな基金などの補助金をもらって、まずは非営利の有限会社を設立し、建物を購入することになりました。修復工事が15年ほどかかる見込みです。
しかし、長年空き家となっていた建物を修復する前には、残っているものを分析し、研究する課題があります。発見がすでに色々あります。昔の壁画が花や動物の絵を含み、さらには19世紀の壁紙が残っています。両方友が非常に珍しく、エルベ川にメンする農地がやはりとても豊かだったことを示しています。
れんがの間の目地のれんがを湿気から守る効果が優れて、非常に面白いと言われています。使われている土が今研究中で、材料は何か、練り方や塗り方には特徴があるか、同じ時代の建築遺産にも使割れているか、他の建物にも使えるかなどを調べることが目的です。青少年がもちろんこの研究にも関わっています。
青少年建築工房の融資が主に寄付に頼ります。
市と市内各区が「自転車交通に関する協定」を2016年6月23日(木)に署名しました。ハンブルク市の自転車交通に関しては、この協定が大きな転換点になる可能性があります。
市が同時に州であり、市内の7区が大きく独立し、「自転車交通に関する協定」とは、連立政権の公約である「自転車都市」への重要な第一歩となっています。ハンブルク市がそのまま州となり、市内各区の権限が広いので、区間の調整がうまくいかない場合があります。しかし、各区の協力を得ないと、面的な自転車交通インフラをある程度速やかに整備することが困難です。
90年代に初めて計画されたが、部分的にしか実施していない自転車交通の幹線ルートネットワークの「ベロルート」を2020年までに実施することが「ハンブルク自転車都市」の中心的な政策となっています。12の放射ルートと2つの環状ルートの総延長約280キロとなる。そのためには、市がまず2018年までに3300万ユーロの予算を確保し、その大部分が連邦からの補助金です。各区の専門スタッフを増やすのも予定されています。さらには、バイク・アンド・ライドやバイクシェアリングをさらに発達させ、自転車道の清掃や除雪を改良することになっています。適切な広報活動を通して、住民の理解と支援を得て、自転車に対する自動車の態度を良くする予定もあります。さらには、州の交通計画を担当する経済・交通・イノベーション省(BWVI)には、自転車交通の計画とその実施を調整するプロジェクトマネージャを雇うことになっているし、適切なコンサルがすでに募集中となっています。
関連する全ての行政と一緒に協定の内容を練って、最終的な文書決めることが経済・交通・イノベーション省の「自転車交通コーディネータ」の大仕事でした。各区の区役所及び区議会、市長、経済・交通・イノベーション省、都市開発・住宅省や交通管理者である警察を担当する内務省の他に、幹線道路の整備や維持管理を担う道路・橋梁・水面公社、港湾内の道路を担当する港湾公社、元の港湾施設の再開発を実施するハーフェンシティ有限会社、バイク・アンド・ライドを担当するパーク・アンド・ライド有限会社、道路の清掃や除雪を行う清掃公社と市内の駐車所を管理する交通公社との調整が必要でした。さらには、自転車交通や歩行者交通の促進に努める団体や商工会議所などの意見を協定書を作る前に聞くことになっていました。その結果、ハンブルク市の中で広い合意ができていると思えますが、野党の社会民衆党や商工会議所が(その政治戦略に基づいて)相変わらずもう反対です。
主に港の経済に着目している商工会議所の理解が得にくいかもしれませんが、実は市全体が得することが期待されています。自転車の環境が良くなるだけではなく、狭い歩道内の狭い自転車道の代わりに車道内の自転車車線が増えますので、歩行者の環境が良くなると思えます。歩行器や車いすなどを使う高齢者の数が今後も増える見込みですので、広い歩道が街の今後の生活水準にとってだけではなく、高齢者の独立と高齢者の生活に大きく貢献すると思えます。
自動車交通にとってもメリットが期待されています。人が便利になった自転車や公共交通に乗り換えると、自動車交通に余裕が発生し、慢性的な渋滞が緩和されると思えます。さらには、自動車を持たない人のモビリティが良くなるだけではなく、自動車にこだわらない、教育水準の高い若い人たちが街に集まってくる期待もあります。世帯数で言えば、ハンブルク市内に住んでいる人たちの半分ぐらいが車を持ちませんが、「持てない」人よりも、「要らない」という人が最近増えていきます。その多くが中心市街地に住んでいますので、目の前に路上駐車する通勤車が彼らにとっての迷惑です。このように、「誰でも車を持つ」当然がドイツでも少しずつ変わってきます。
一年間をかけてこの協定を作成しながら、90年代に提案されたベロルートの具体的な場所と実現の可能性を確認したハンブルク市が本当に自転車都市になるのでしょうか。どちらにしても、今後の発展は楽しみです!
欧州自転車団体のECFが先日、「自転車と買い物」に関する研究を公開しました。
この研究が世界各国の研究結果をまとめていますので、デンマークのコペンハーゲン、イギリスのブリストルやスイスのベルンだけではなく、米国カリフォルニア州のデイビスに関する研究結果がハイライトされています。これらを読むと、特に特定の地区に関する買い物モビリティなどの研究や商店街が寂れる本当の原因に関する研究と、自転車客の経済効果に関する宣伝がまだ足らないことを痛感します。経済振興政策が自転車をあまりにも見逃しているのも事実です。
主な研究結果が以下の通りです。
自転車政策の結果として得しまするのは、特に中心市街地や住宅街に近い商店街であることが確かにたびたび指摘されています。自転車で郊外のショッピングセンターに出かける人がまずいませんので、商店街が主な目的地となるのは、当たり前でしょう。このことを意識し、ドイツ国内の専門家が以下のような政策を推薦しています。
日本の商店街は、いつ頃自転車に目ざめるのかな?
風がほぼ常に吹く北ドイツ。シュレースビッヒ=ホルシュタイン州の発明家ペーア・ランゲマック氏が1年以上をかけて、自分が消費する電力を勝手につくる街灯を開発しました。本人がドイツの技術監査教会(TÜV)の許可を待っている状態ですが、この新しい街灯を近い将来にドイツの地方都市で見られるのではないかと思います。一つの実験が今後、北海の島であるユースト島で行われるそうです。
再生可能エネルギーを使っているだけではなく、配電線を引っ張る大きな工事が必要ではないので、この街灯が特に地方都市にとって興味深いものでしょう。
風が吹く間には、缶詰を何個か積み重ねたように見えるコンパクトなローターが回転し、発電します。秒速3mの風がそのために十分で、割合に緩やかな風で間に合います。風が異常に強いときにはブレーキがかかり、回転率が下がり、発電機の障害が防止されます。電力の一部が蓄電池に保存されますので、風が吹かなくてもLEDの街灯が10日間ほど点灯できます。おまけに、値段も手頃です。街灯一本が4千ユーロ以下の見込みで、配線のために大きな土木工事を伴う従来型の街灯より安いと言われています。電気料金がもちろん発生しません。
ドイツの連邦風力協会がこの新しい街灯を歓迎しています。局地的な発電で、大きな配電網を不要とする、すっきりしたアプローチを協会が特に評価しているそうです。そのためには、特に歩行者自転車が得すると思えます。この街灯を使うと、道路からある程度離れた自転道の車交通安全やバス停の公安に貢献できる期待が大きい。
配線の工事を避けるためには、ソーラー発電の街灯をすでに使っている市町村がいくつかあります。しかし、日照時間が短い冬の間に曇りの日が多く、街灯が一番ほしい季節にはその信頼性が低い問題がこの地域でたびたび指摘されています。一方、風が10日間ほど吹かない日がおそらく発生しない地域ですので、風力発電の街灯が本当に名案かもしれません。
シュレースビッヒ=ホルシュタイン州のど真ん中に位置するシュレースビッヒ市。人口約2万5千人の地方都市です。バイキングの大都市であったハイタブーから発達した街で、中世から大司教の所在地になりました、デンマルクの王様をつとめていた地方の貴族がその後、立派なお城を建てました。州の歴史博物館となっているお城と棟がそびえ立つ大聖堂が今でも有名です。
夏の間には観光客が多いが、街が冬の間も生き生きします。狭い、歴史的な街並みを通る道路がたびたび混雑します。しかし、ほんの数本の幹線道路を除いて、全市を今後ゾーン30に指定することになります。
市の交通管理者の話によると、自転車の交通安全のためにそうせざるを得ません。自転車道を確保できるほどの道幅がない道路が多く、自転車の交通安全を保つためには自動車の速度を減らすしかないとの判断でした。安全上の理由ですので、議会の可決が不要で、関係ありません。それでも、議会の建設委員会がこの計画を可決しました。
市の中では30キロ規制に関する議論が盛り上がりつつ中で、交通管理者がきっぱりと判断し、面的な交通規制を導入することが非常に珍しく、市民達がびっくりしたのではないかと思います。議会が30キロ規制を求めても、交通管理者が足を引っ張るパターンがドイツでも多いようです。
反対する声ももちろんあります。渋滞が悪化することを恐れる人もいます。それでも、新聞によりますと、市の重要な資源となる観光への影響が懸念されていないようです。車をどこかに捨てて、自転車や徒歩で街を探検する人が多いからではないかと思います。
面的な30キロ規制がいつ導入されるかはまだわかりませんが、そのうちシュレースビッヒの観光に出かけようかな?
地方における高齢化や人口減少が原因で、公共交通がますます厳しくなります。日本と比べて公共交通への補助金が豊かなドイツはこの点に関して、例外ではありません。
そこでは、路線バスの新しい取り組みが始まりました。ボランティアが運転する「市民バス」がいくつかの地方都市で出没しました。
シュレースビッヒホルシュタイン州のディットマルシェン郡が今年から初めて、「市民バス」を体系的に支援しようとしています。先日には、郡議会の経済委員会が「市民バス」への補助方針を可決しました。
「市民バス」を運用する団体は、各地の小さなNPO法人です。しかし、運転手を提供し、バスも買わなければならないので、壁がかなり高いと言えます。そのためには、ディットマルシェン郡がこれらのNPO法人にバスを提供しようとしています。その結果、NPO法人への負担が大きく減ります。
シュレースビッヒ・ホルシュタイン州では、バルト海の島であるフェーマルンとデンマーク国境付近の村であるラーデルントにおいては、市民バスがすでに走っています。高齢者や障害者がその結果としてタクシーに頼らずに自由に移動でき、お金をあまりかけなくても自立した生活を送ることができます。お店、お医者さんや銀行などが地方の小さい集落からどんどん消えていく今の時代には、日常生活の中で必要な移動距離が増えていきます。年をとっても、この生活を維持できるかどうかは、地方に暮らしている多くの人の悩みです。
人口1400人のラーデルント村では、「車がないと生活できないので、どこかの都市に引っ越しますよ!」と、友達に言われた一人の女性がNPO法人を起こし、市民バスを導入する動きを村内で起こしました。NPO法人がEUや州の補助金を確保し、8人乗りのバスを購入しました。32名の会員がボランティアとしてバスを運転します。そのためには数日間かかる教育が必要で、毎週の運転時間が4時間に制限されています。バスが近くの村も回ります。乗車券が1ユーロです。
これではうまくいかなければどうするのかなと、心配した人が多かったようですが、市民バスがかなりの人気者で、停留所で待っている人が皆乗れないときもあります。州内各地に同じような取り組みを導入させ、さらには古くなったバスを交換できるように、州内で市民バスを運用しているNPO法人がメンバーとなっている「シュレースビッヒ・ホルシュタイン州の市民バス」ワーキンググループが昨年発足しました。
生き生きした地方のために成功してほしいね!
北ドイツのシュレースビッヒ・ホルシュタイン州に属する北海の島で、観光客に人気のあるフェール島(人口約8千人)とホーゲ島(人口が約100人)を中心に、島で発生するプラスチックのゴミをなるべくゼロに減らす取り組みが2015年の秋から始まりました。対象地区がシュレースビッヒ・ホルシュタイン州内の北海の島々です。周りの北海の干潟がUNESCOの世界遺産になっても、観光や漁業でプラスチックのゴミに悩む島でその前年に開いたシンポジウムをきっかけに、毎日の暮らしの中で+シックを減らす方法を考えるプロジェクトが始まりました。
今までは、得に以下のような取り組みが提案されています。
船など、島の生活に欠かせない多くのものが近年プラスチックでできているので、プラスチックを完全に島から追い出すことはもちろん不可能ですが、身近なものから手を付けて、プラスチックのゴミを減らすことが可能です。
なお、今年に入って、海に浮かぶプラスチックのゴミがどんどん話題になります。今月の間に間違えって北海に入って、オランダやドイツでなくなった12頭のマッコウクジラが解体され、数頭のおなかの中からは漁師の網など、プラスチックのゴミが出てきたことが日筒のきっかけでしょうが、2050年前後には海を泳ぐ魚よりは海に浮かぶプラスチックのゴミの方が多くなる見込みのニュースや、魚が食べたマイクロプラスチックのゴミが人間の食卓に上るニュースなどが相次いでいます(マイクロプラスチックとは、歯磨き粉や化粧品の添加物として使われている超微細プラスチックの粉で、排水が浄化されても、そのまま川や海に流れてしまうものです)。
しかし、プラスチックのゴミが波や太陽子などの影響で粉々になりますが、完全に分解されないことが主な問題だそうです。ペットボトル一本が無くなるまでには、450年ほどかかるとも言われています。海に解放される軟化剤などの化学物質も問題ですが、海の生物への影響が他にもあります。プラスチックが食物連鎖に入るし、海の鳥が巣をプラスチックのゴミから作ります。その結果として自分の巣に使ったロープなどに首つりになって、死んでしまう野鳥も相次ぎます。
あ~あ、悲しいことです。
今年の1月には、ドイツの「都市・地域・国土計画協会(SRL)」に入会しました!日本の都市計画学会と異なって、SRLが論文の発表を中心に活動している学会ではなく、専門家の意見交換を深めながら、会員の代表団体となっている職能団体となっています。
現在は、会員が約2万人いるSRLが1969年に設立されました。職能団体としては、SRLが計画者の就労環境の改良に努めながら、都市建設・国土建設関連法などが連邦や州レベルで改正される際に専門的な知識やアドバイスを提供しています。
もちろん、会員の交流も大事にされています。基本的には、二つのレベルがあります。8つの地域部会の他には、交通空間、自転車歩行者、地方部における計画やエネルギー及び気候などに関するワーキンググループがあります。それぞれの報告や関連の情報が年に6回、会員がもらう雑誌にまとめられています。重点的に紹介されているテーマが毎回変わります。入会とともにもらった一部が交通計画のこれからの視点や新鮮な考え方に関するものです。面白い!
ところで、当団体の取り組みの内容が本当に幅広いと言えます。都市計画や国土計画だけではなく、建築、環境、法律、農業や社会学など、様々な専門分野の人が集まっています。
いろいろな議論や新しい知識を楽しみにしています!
ADFCなどのことで忙しかったため、このブログが長い間冬眠してしまいました。今年の決断ですか?ブログの解凍と再出発ですよ!
お楽しみに!
最終更新:2016年12月31日
© Susanne Elfferding. All rights reserved.
街灯の写真がウィキメディアコモンズの写真に基づきます。 撮影:Maximilian Dörrbecker (Chumwa)。 ライセンス:Creative Commons CC-by-sa 2.5。 メルドルフの写真がウィキメディアコモンズの写真に基づきます。 撮影:Joergens.mi/Wikipedia。 ライセンス:Creative Commons CC-by-sa 3.0/de。