(*鉄道の好きな女は「鉄子」なら、道路に興味のある女は…?)
イギリスの自転車事情 || 地図 || ハルブルク地区のADFC(その2) || ハルブルク地区のADFC
ただいま、ウェールズから帰ってきました。
およそ20年前にウェールズを2回ほど自転車で旅してきましたが、今回の旅は車での移動でした。それにもかかわらず、目がついつい自転車交通に向いてしまいます。
まずびっくりしたのは、フェリーから降りたハリッチと目的地のウェールズの途中にある最初の宿泊先オクスフォードです。中心市街地の宿泊を車でアクセスできませんでした。車を一泊止める駐車場もない。荷降ろしも駐車違反のままでした。取り締まりは厳しいが、何とか逃げることができました。
オクスフォードの中心市街地全体が「駐車規制ゾーン」に指定され、1時間や2時間の臨時駐車しかできません。その代わりには中心市街地周辺の主な幹線道路沿いには無料の大型パーク・アンド・ライド駐車場が整備され、駐車場からは大きな2階建てバスで中心市街地に行くことができます。しかし、宿泊先のおじさんに「すべての荷物を車から降ろしたほうがいいよ!」と言われ、ガードマンが24時間いても駐車場での車上荒らしが後を絶たないようです。
旅の途中でよくよく見ると、同じようなパーク・アンド・ライド制度を導入した街がいくつかあります。同じ考え方に基づくロンドンのロードプライシングは日本でも有名な話です。しかし、だからと言って、自転車がよく使われているのでしょうか。
オクスフォードの自転車が多かったが、自転車交通に関心を持つNPOで活動をしている人によると、オクスフォードやケンブリッジなどの大学都市での自転車交通が他の都市と比べてよっぽど多いものです。なるほど、それはドイツもオランダも一緒です。しかし、オクスフォードなり、あるいはイギリスなりの発見もありました。
今かつてイギリスでしか見たことのないものは救急自転車です。調べてみるとオクスフォードだけではなく、イギリスのいくつかの歩行者エリア内で使われているものですが、万が一の場合は患者を救急自転車のどこに乗せるのでしょうか。
ウェールズに行ってもまたびっくりすることがありました。
20年前にイギリスを自転車で旅した際は、自転車用のインフラがまったくなく、自転車道を一本も見かけておりません。
今回の旅では全国の自転車道ネットワークを発見しました。ウェールズ地方内の標識はもちろんウェールズ語と英語、2ヶ国語で書いてあります。ところで、「全国自転車道ネットワーク」は英語で「National Cycle Network」、ウェールズ語で「Rhwydwaith Beicio Cenedlaethol」となっています。
この全国自転車道ネットワークが「サストランス(Sustrans)」というNPOにより計画されました。「サストランス」の目的は持続可能な交通を促進することです。NPOに計画された最初の自転車道が70年代後半にブリストルで整備されましたが、その近くを通っても前の自転車旅ではこの貴重な自転車道を残念ながら見逃してしまいました。1995年にはやっと予算がつき、全国自転車道ネットワークのプロジェクトが発足しました。NPOのウェブサイトによると、2007年末の自転車道ネットワーク総延長がおよそ2万キロにも及びました。
この自転車道ネットワークは現在、9つの長距離ルートと88の地域内ルートからなっています。ネットワークのさらなる拡張が今後も計画されています。
サストランスが販売している自転車道地図もあるようですが、今回の旅では本屋で地図などを探す余裕がなく、次回行ったときに確認しようと思っております。
イギリスにもこんな快適な自転車空間があると感動しても、こんなに走りにくいところもあるな、とびっくりしたところもあります。その最たるものは中央分離帯があり、車がかなりのスピードを出す4車線の国道です。自転車道が整備されていないので自転車が高速道路のような車道を走るべきですが、上空写真でも確認できるように、出入り口のみにはかなり細い自転車が整備されています。恐ろしい・・・!(実は自転車を見たこともないし・・・)
まだ改善の余地があっても、自転車の交通分担率がまだ低くても、自転車が全体としてイギリスでも使いやすくなった印象を受けました。自転車道だけではなく、街のしっかりした駐輪場が増えて、自転車での配達や郵便配送なども増えてきたような気がしました。
しかし、山の多いウェールズを20年前に良くぞめげずに自転車で旅しました。景色は本当にすばらしいですが、海沿いでの風が強く、雨も良く降っています(車で行くと晴れの日がもちろん多いですが、自転車や公共交通で行った年に限ってなぜか雨ばっかりだったような気がします)。
山が多くてお天気は不安定ですが、暖冬のイギリスの冬はドイツの冬より自転車旅に向いていることが今回の旅でよくわかりました。確かに、自転車のツアーに行く人も同じフェリーに乗っていました。
私なら、自転車を車に乗せて、あるいは公共交通をうまく使って好きなところを楽しく回ることが理想に見えてきました。あるいは、荷物を運んでくれるツアーで移動することも考えられます。しかし、大きな荷物を積んで、毎日山の景色をこぐ自信はここ数年の生活でなくなりました。
年かな?
ドイツ、オランダとデンマークの自転車事情に関する調査に同行し、ハンブルクの自転車地図がたまたまミュンスターでやっと手に入りました(その理由はここハンブルクで珍しいことではなく、ずっとばたばたしてハンブルクで探す余裕がなかったことです)。全体的には1/2万のかなり細かい地図で、市の主な自転車道がさらに最初の8ページで1/7.5万の索引図にも記載されています。普通の道路地図で見られる道路と土地利用に関する情報のほかに、自転車専用道の有り無しや自転車道の質、危ないところや通りにくいところなどに関する情報が豊富です。さらに、車が通れなくても自転車が通ることができる公園や袋小路なども確認できますので、ポケットにでも入る、200ページ弱のこの地図帳がかなり便利なものです。
出版社はところで80年代にオーストリアで自転車に関する市民運動から生じた自転車専用の出版社です。主な出版物は自転車の地図やガイドブックで、インラインスケートのガイドブックも自転車で旅する人にとって使いやすい宿のガイドブックもあります。ドイツ国内の各自転車地図に関しては地元の全ドイツ自転車協会(ADFC)の現地部会が協力しているそうです。さすがにグラスルーツ運動の強みですね・・・。
昨日のADFCハルブルク部会の集会には9名が出席し、私を含めてそのうち2名は新人でした。主なテーマはADFCがハルブルク地区内で提供する自転車ツアーの案や地区内のどこの道路には自転車にとって危険な場所や通りにくい工事現場などがあるかのことで、誰とどのように相談をすれば自転車交通の問題が解決するかの話でした。引っ越したばっかりで地区内の道路はまだあまりなじまないので、ついていくだけでも精一杯でしたが、自転車のためにがんばっている地元の人達の姿を見て、引越しのときに人にもらった中古の自転車を直して乗ってみる元気が出ました。さらには、ADFC作成のハンブルク市内の自転車専用地図帳をADFCの集会で見ましたが、ほしいなぁ・・・。
「ADFC(全ドイツ自転車協会)」には以前から興味を持っておりますが、ドイツへの帰国をきっかけに入会しようかと思いました。今すんでいるハンブルク市ハルブルク地区の部会が今日の夕方に地元の飲み屋「リークホーフ」で集まりますので、顔を出してみましょう。わくわく・・・。
最終更新:2009年7月27日
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