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港湾:
大気汚染、再生可能エネルギーと省エネ

欧州グリーン首都ハンブルク
ハンブルク港のミニ写真集。上から下:▶港湾施設と港をまたがる高速道路の橋。船と自動車交通が大気汚染の大きな原因となっている。▶ハンブルク港内の風車。手前にある貨物列車がその規模をしめす。▶ハンブルク港を出るフィーダー船。港とレクリエーションの場が隣接するだけではなく、・・・▶港と住宅や田園風景がハンブルクで隣接しています。

「港にもきれいな空気!」と名付けられたEU五カ国の環境団のプロジェクトが2013年2月にハンブルクで軌道に乗り、キックオフ会議の主な出席者は港湾産業の関係者や研究者などの専門家でした。2013~15年に、欧州各地の6つの港湾都市において、同じような会議を開くことになっています。

欧州の港湾都市で観測される大気汚染の半分ぐらいが港から発生し、もう半分が自動車から発生するとされています。暮らしへの影響がありますので、CO2よりも人間の体を大きく影響するNOX(窒素)や粉じんが特に注目されてきましたが、船舶に関しては主に硫黄に関する規制があります。北海が硫黄酸化物排出規制特定海域(SECA)に入っているので、海域においては硫黄が燃料の1%以下、港内では0.1%以下に抑えるべきです。また、ハンブルクなど、55の港湾が世界港湾気候イニシアティブ(WPCI)の「環境型船舶指標(ESI)」プログラムに参加し、NOXやSOXの排出量が国際海事機関の基準値を下回る船舶に対する入港料金を減らすことを考案しています。

しかし、2月の会議では、港湾におけるリンク再生可能エネルギーの利用が特に興味深いと思いました。

内容
リンクリューベックの港の陸上電力供給 ||  リンクハンブルク港のクルーズ客船とコンテナ船 ||  リンクマグデブルク港の「グリーンポート計画」 ||  リンク船はなぜ問題かな?  

リューベックの港の陸上電力供給

世界遺産の旧市街が有名であるリューベック市はバルト海に注ぐトラーベ河に面し、バルト海から数キロ離れています。リューベック港はバルト海の重要な海港となっているだけではなく、運河を通してエルベ川やハンブルク港にアクセスできます。コンテナや材木の輸送の他に、スカンジナビア各国に出るフェリーが港湾活動の中心となっています。

リューベック市内にあるトラベミュンデ地区が療養所としての長い歴史を持っています。この地区を排気ガスの影響から守る必要がありますので、リューベック市長が長年、陸上電力供給に興味を持ってきました。5年間の計画過程を経て世界初の標準化された陸上電力供給施設がその結果、パイロットプロジェクトとして2008年に実施されました。海と風に恵まれ、風力発電が重要な産業となったシュレースビッヒ・ホルシュタイン州に位置しているリューベック港の陸上電力供給は再生可能エネルギーのみを使っているそうです。プロジェクト実施の結果、港内のSO2が6割減っただけではなく、港内のCO2排出量や騒音が大きく減りました。

このプロジェクトを実施したのは、市内の電力、ガス、地域暖房や上水を供給している都市公社です。リューベック港内で実施された陸上電力供給が簡単なプラグインシステムとなり、船が必要とする電圧や周波数などが自動に関知されます。6.6kVか11kVの電力供給が可能となっています。この施設はドイツ電力技術者協会(VDE)の基準を満たしますが、船舶の陸上電力供給に関する国際基準がまだ存在しないので、船舶会社など、関連企業の協力がプロジェクト実施に不可欠でした。

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欧州グリーン首都ハンブルク
コンテナ船のミニ写真集。上から下:▶かなり巨大な船が海外からきて、エルベ川を上っていきます。▶アルテンヴェルダーコンテナターミナルの全自動コンテナヤードとシャーシ。シャーシの一部が全自動の電気自動車となっています。(撮影:Heje*)▶欧州最大の操車場であるマシェン操車場がハンブルク港の付近に位置します。ところで、ハンブルク港内鉄道の冬のポイント解凍には地熱を使う実験が行われています。(撮影:Cremedia)▶マクデブルク港のコンテナターミナルと風力発電所。(撮影:Jörg Schönebaum*

ハンブルク港のクルーズ客船とコンテナ船

北海からほぼ100km離れても、ハンブルク港は立派な海港です。大型のコンテナ船も、大型のクルーズ客船も、海洋を渡る船舶が数多くエルベ川を上ってきます。特にクルーズ客船が近年のブームとなっています。2000年には29隻のクルーズ客船しか来ませんでしたが、その数が2012年には160隻まで上り、今後もどんどん増える見込みです。しかし、貨物船も数多く来ます。ハンブルク港が2011年に900万本以上のコンテナを扱い、港の規模がロッテルダム港に続いて欧州の第二位です。

クルーズ客船のブームはもちろん観光業界が喜ぶことですが、クルーズターミナルが人の住宅に近いので、陸上電力供給を巡る市内の議論が数年前から活発になりました。クルーズ客船を10隻かかえ、ロストックに本社を置いているアイーダ・クルーズ社がこの話に乗ってきて、市と協力することになっています。陸上電力供給を実施できるまでには後数年かかりそうですが、LNGを燃やして発電するLNGバージをクルーズ客船のそばに停泊させ、電力を提供することになっています。その結果、CO2の排出量を2割減らすことができ、二酸化硫黄、窒素と粉じんが全く発生しません。LNGはもちろん化石燃料ですが、LNGバージがさらに2つのクルーズターミナルの間に往来でき、必要に応じて別のところにも電力を提供できます。

陸上電力供給はコンテナ船に関してはまだ程遠いことになっていますが、再生可能エネルギーがすでにコンテナターミナルで使われています。ハンブルク港内の一番線端的なコンテナターミナルがほぼ全自動のアルテンヴェルダー・コンテナターミナル(CTA)です。

CTAでは、全自動のシャーシがコンテナを船側のガントリークレーンとコンテナヤードの間に運びます。シャーシのほとんどがディーゼルエンジンを積んでいますが、最近は電気シャーシが登場しました。電気シャーシが大きな電池を二個積んで、電池の電圧が一定のレベルまで下がったら、自動的に充電施設に移動し、電池が全自動で数分以内に交換されます。このシステムが冬においても問題なく動いていますので、他のシャーシも徐々に改造することになっているそうです。

省エネの取り組みやアイデアが他にもいろいろあります。その中にはたとえば地熱を使った鉄道のポイント解凍、温度管理を通して再生可能エネルギーを貯蔵する冷却倉庫や人間と貨物の無駄な動きを避ける数多くの取り組みがあります。

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マグデブルク港の「グリーンポート計画」

ザクセン・アンハルト州のマグでブルク市はハンブルク市と同様にエルベ川に面し、川を上るとハンブルク市から300キロ弱離れています。重要な運河も近くにあり、水路を通ってマクデブルク港からチェコまで移動できます。ハンブルク港の背後地が特に東ヨーロッパにあるので、マクデブルク港がコンテナの河川輸送の重要の拠点となり、2011年には約1 4千本のコンテナを扱いました。

欧州グリーン首都ハンブルク
大型客船のミニ写真集。上から下:▶古き良き時代?1910年頃の汽船。▶ハンブルクのリンクハーフェンシティのクルーズ・ターミナルに停泊するクイーン・メリー2。(撮影:Hansueli Krapf*)▶キール運河を通っているアイダ社のクルーズ客船。(撮影:Torsten Bolten*

2007年に開通したハンザ港がマクデブルク港のコンテナターミナルとなっています。ハンザ港内の風力発電所を船舶の陸上電力供給やハイブリッド機関車と電気自動車の充電に使うことが「グリーンポート」計画です。風力発電所のメーカであるエネルコン社、市の都市公社と港湾事業者がこの取り組みのプロジェクトパートナーとなっています。

鉄道の操車場で貨車を動かすロード・スイッチャーとして使われるハイブリッド機関車が「グリーンポート」計画の中心となっています。マクデブルク市の近くに工場を抱えているフランスの車両メーカであるアルストム社が風力発電所に直接にプラグインできるこの機関車を開発しました。ハイブリッド技術を使うと、エネルギー消費を40%減らし、CO2排出量を75%、NOXの排出量を65%減らすことができます。

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船はなぜ問題かな?

船の気候影響が以前から注目されてきた結果、重油や軽油に含まれている硫黄に関する規制が決められましたが、船の排気ガスを分析する研究が現在、ロシュトック市のヘルムホルツ研究で行われています。確かに、貨物1トンあたりの排出量がトラックより低いのですが、自動車の排気ガス基準がどんどん厳しくなってきたのに船の排気ガス基準はそうでもないので気になるものが十分にたくさんあります。その中には粉じん、ベンゾピレン、ダイオキシンほど毒性が強いとされているポリ芳香族の物質の他にバナジウムやニッケルの遷移元素があります。これらの物質の人体への影響が大きいので、さらなる環境対策が必要です。

粉じんに関する研究もまだ続いています。細かいものが体内深くまで入ってしまい、肺の病気、癌や、心臓・血管など循環器における疾患を起こす可能性があることは割合に広く知られていますが、荒くて鼻にとどまる粉じんがアレルギーを起こす恐れが最近明らかになりました。

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最終更新:2013年3月7日
© Susanne Elfferding. All rights reserved.

(1)コンテナターミナルの写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Heje。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 3.0 Unported License。 (2)マグデブルク港の写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Jörg Schönebaum。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 2.0 Germany License。 (3)ハーフェンシティの写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Hansueli Krapf。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 3.0 Unported License。 (4)キール運河の写真が外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Torsten Bolten。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 3.0 Unported License