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自転車:
2010年ベロシティー国際会議

2010年6月22日~6月25日

ベロシティー2010自転車国際会議
「ベロシティー2010」自転車国際会議のミニ写真集。上から下:▶会場の入り口▶コペンハーゲン市民が見ている1000人の自転車行進▶自転車のグリーン・ウェーブ▶貨物自転車の車庫。大きさと形は乗用車ですが、中には貨物自転車が4台ほど入ります▶出席者全員に自転車を貸してくれました▶自転車行進のブラスバンド▶インドのことを熱く語っているヴァンダナ・シヴァさん▶デンマーク「サイクリング大使館」の「リーダシップ・アワード」を受賞したロエロフ・ヴィッティングさん▶ジャネット・サディクカーン(ニューヨーク市)、ボ・アスムス・クイェルドガード(コペンハーゲン市)、潘海啸(同済大学、中国)、アンディ・クラーク(全米サイクリスト同盟)▶イベントのポスターと自転車。

コペンハーゲンのベロシティー国際会議に出席し、大変充実した4日間を過ごしました。この会議に際して、世界各国の自転車関係者とのネットワークを拡充し、自転車に関する知識を深めただけではなく、自転車のためにがんばっている数多くの人々から多くのパワーをもらってきたような気がします。

初めてのベロシティー会議は1980年にブレーメンで開かれましたが、今年開かれた16回目の会議は初めての「ベロシティー・グローバル」でした。49カ国出身の自転車関係者1千名以上が出席し、まさにその名の通りでした。

内容
リンク講演とワークショップ ||  リンクコペンハーゲン探検 ||  リンク自転車から発生する相乗効果 ||  リンク自転車を今後も増やしましょう! ||  リンクベロシティー2011

講演とワークショップ

出席者だけではなく、発表者も十人十色でしたので、発表内容も多岐にわたりました。例えば、インドの方が自転車を通して手にする自由と収入に関して語り、スイスの方が地方自治体の放置自転車対策を紹介し、日本の方が奈良市のコミュニティーサイクルを説明し、フィンランドの方が気候の厳しい国における自転車利用に関して発表し、ベラルシーの方がオープンストリートマップを使った自転車道地図の作成を話しました。

しかし、何よりも魅力的で楽しかったのは会議の多様なフォーマットでした。講演や講義があっただけではなく、クリエーティブでインターアクティブなワークショップが多かったため、多くの人に知り合い、意見を交換し、各国の自転車事情を知ることができました。特定のテーマに関するラウンドテーブルのディスカッションもあり、出会いパーティーのようなネットワーキングイベントもあり、椅子取りゲームと似たような「デンマーク人の8分間自転車発表」イベントなどもありました。ワークショップなどで知り合った人との交流を休憩の間に深めることができ、長めに取られていた休憩時間も大変良かったと思います。あぁ、楽しかった!

自転車に乗って街を散策するイベントも用意され、インフラの整備と維持管理や通勤通学などに関するテーマが市内10カ所で説明されました。見る順番も各テーマにかける時間も自由でした。これでも足らないと思う人には、会議が終わってからの2日間の研修・見学ツアーがありました。

しかし、何よりも楽しかったものは水曜日のディナーパーティーや木曜日の自転車行進でした。自転車行進には会議の出席者だけではなく、コペンハーゲンの人も参加しましたので、リンクかなりの人がコペンハーゲンの中心市街地を2時間ほど回ってきました。

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コペンハーゲンの電車
Sバーンへの自転車持ち込み。上から下:▶ずっと自転車の近くにいる必要はありますが、自転車の乗車は無料です▶ホームの自転車マークが自転車専用車両の位置を指します▶自転車専用車両にも自転車の大きなマークがあります▶自転車の後輪を車内のスタンドに挟む。

コペンハーゲン探検

今回のベロシティー会議はせっかく自転車大都市コペンハーゲンで開かれたので、自転車に乗って街を歩くことも楽しみでした。ゆったりとした自転車空間が確かに走りやすく、自転車を歓迎する街の雰囲気が嬉しいことでした。しかし、自転車の交通分担率拡大(2015年までに市が通勤通学の50%を目指している!)や自転車の盗難防止など、課題もまだ多くあるようです。

コペンハーゲン探検の一番興味深いところは自転車のSバーンへの無料持ち込みでした。この取り組みを見学するイベントに参加し、自転車と共に4人で実際に6駅ほどSバーンに乗ってみました。本当に快適でした!先頭車両には専用のラックが設置され、自転車を安全に停めることができました。ホームと車両には自転車のロゴマークが描いてあり、乗車位置が本当に分かりやすいのです。鉄道事業者の説明によると、自転車と電車の組み合わせは双方にとって快適なものです。自転車の行動範囲が広がり、自転車の車内持ち込みを可能にすることにより例えば自転車で片道、電車で片道などの柔軟なトリップが可能になりますので、電車の利便性も上がります。

大変気に入ったもう一つのプロジェクトは貨物自転車用の駐輪ボックスでした。実験的なものですが、デザインは非常に目立ちます。真っピンクのボックスの大きさと形はクルマと一緒です。この目立ったデザインを通して、市が貨物自転車の利点に注目を引こうとしています。クルマ1台が必要とするスペースには、4家族の貨物自転車を停めることができます!自動車は本当にスペースを食わないものですね。

しかし、ベロシティー国際会議そのものが勉強になっただけではありません。同じく会議出席のポルトガル人女性と共にデンマーク人の家にホームステイすることになりましたので、宿泊も勉強になりました。コペンハーゲンの自転車生活を肌で感じました。子供がまだ小さかったころに、ホストファミリーがクルマを廃止し、子供を貨物自転車のかごに乗せて生活することにしました。子供が大きくなった今は子供が自分の自転車を漕ぎ、ノーマイカーの生活がそのまま続いています。コペンハーゲンの自転車はやはり便利で速いからではないでしょうか?

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自転車から発生する相乗効果

コペンハーゲン散策の際に見た自転車と鉄道の組み合わせもそうですが、自転車利用が増えると、様々の良い効果があることは多くの発表者から強調されました。その中には特に以下のものを注目するべきだと思います。

しかし、自転車のメリットを頭で理解してもらっても、街を満喫できる楽しい走行空間と、目的地に速やかに移動できる走行空間や自転車を安心して停められる駐輪場が無いと、自転車の利用が決して増えないでしょう。

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クルマvs.チャリ:通勤ラッシュ時の自転車は絶対勝ち!

自転車を今後も増やしましょう!

自転車先進国も、自転車がまだ少ない国も、各国の自転車利用促進は重要な課題であることに関する合意をこの会議で感じました。その方法はいろいろあります。自転車の利便性をクルマの利便性より上げ、コペンハーゲンのように自転車通勤をクルマ通勤より早くする手があります。また、提供型のハード整備を行うだけではなく、自転車利用のメリットを強調する広報活動も必要です。その一環としては地位の高い人に自転車を使ってもらって、自転車のステータスを上げることも効果的です。しかし、子供の習慣作りが一番大事でしょう。自転車を普通の交通手段として体験する子供が大人になっても乗る傾向がありますので、学校内外のモビリティ教育が大変重要です。

「どうしても自転車に乗らない」人にアピールしても仕方はありませんが、「乗ってみたいが、○○だから…」の人を利用者層として開発する動きが目立ちます。乗ってみたいが乗らない人の悩みがわかれば、適切な対策をとれますので、自転車利用が増えることは数人の発表者から強調されました。やはり子供も、高齢者も安心して、安全で使える走行空間が必要です。このような街は誰にでも歩きやすくなります。

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ベロシティー2011

次回のベロシティー会議が外部リンク2011年3月23~25日にスペインのセビリアで開かれます。それでは、来年はセビリアでお会いしましょう!

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最終更新:2010年7月22日
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