ハンブルク市の人口がどんどん増え、数年後には200万を超える見込みです。交通が発生するスプロール化を避けるためには、既成市街地の密集化が特に中心市街地に近い住宅街に集中しています。その結果、人口密度が高まり、さらには公共空間に関するニーズがさらに多様になっていきます。
人口成長と密集化を背景に、2014年に発足した「スマート・シティ」プロジェクトが交通や住民への情報提供を中心に、IT技術を使った効率向上を目指しています。そのためには、市が2015年に「デジタル都市戦略」を議決し、グローバルなIT企業、ドイツ国内の自動車メーカや元国鉄のDBとの相互理解覚書(MOU)に署名してきました。主なプロジェクト分野が住民参加と住民との情報交換、文化遺産に関する情報提供、港湾の効率向上、大学などにおける教育やITS及びスマート・エネルギー供給となっています。これらの分野においては、数多くのモデルプロジェクトを実施することになっています。プロジェクト調整がハンブルク州の各省事務次官レベルで行われるようになっています。
この取り組みがハンブルクのみに限りません。EUのホライゾン2020プロジェクトとして、市がデンマークのコーペンハゲンやフランスのナントなどの欧州都市と協力し、デジタル化に関する導入、実施や評価方法を検討しています。
内容
ITSとモビリティ ||
スマートポート ||
スマートな暮らし ||
スマートエネルギー
ハンブルクが以前からインターモーダル交通に力を入れています。公共交通、カーシェアリングとバイクシェアリングを駅で繋げ、同じオンラインの案内システムに乗せているswitchhがその最大なプロジェクトとなっています。ITSの取り組みとしてはさらに、ライドシェアリング、(自動車やSバーンの)自動運転、センサーを使った信号制御や駐車場案内システムなどが実験されます。2017年の夏に導入された、タクシーとバスの中間にある、スマホで予約できるオンデマンドのシャトルが大変好評で、従来の公共交通を補っています。しかし、ハンブルク都市圏の駅も変わります。無線ランやデジタルな案内システムが導入され、特に乗り換えが便利なところにおいてはコーワーキングスペースを入れことになっています。駅が物流のハブにも発達します。運輸連合HVV域内の50駅には、通勤者が帰り道に宅急便を拾うことができるスマートロッカーを設置することになっています。さらには倉庫などの空きのスペースを活かし、周辺地域のコンソリデーションセンターを設立し、モノをカーゴバイクで配送することが予定されています。
自動車交通のエネルギー消費を減らし、渋滞の発生を減らすためには、州の道路橋梁水面公社がインテリジェントな信号予測システムに関するパイロットプロジェクトを実施し、いつ切り替えるかが予測できる信号機が自動車に情報を送り、快適に通過できる走行速度が自動車内の端末に表示されます。ほとんどの信号が路線バスによる制御、歩行者屋自転車の押しボタンや自動車の感知システムによりダイナミックに制御されますので、切り替えの予測が水か敷くなって居ます。しかし、歩行者の役に立つ感知システムもあります。幼稚園生が幹線道路を渡るところでは、送信機を持つ幼稚園の先生が青の期間を延ばすことができ、別の所では信号機がセンサーやカメラを通して歩行者を確認でき、道路を渡り切れていない者がいれば歩行者信号の青を倍ほど伸ばすことができます。
さらには、街灯を「スマートポイント」に改造することになっています。近くにいる人のニーズに合って、交通安全を向上させる照明、無線ラン、電気自動車の充電や周辺の駐車スペース、環境汚染と交通量の感知ができる本当にインテリジェントな街灯になるようです。この街灯の照明が例えば横断歩道で待っている人がいる際に、自転車が通っている際に、または誰もいない際に変わることが考えられます。
「スマートポート」が2011年に発足し、ロジスティックスとエネルギーの分野におけるプロジェクトを含みます。
スマートポートロジスティックスが渋滞対策、物流の加速と港内の渋滞対策を目刺し、さらにはCO2排出量の削減など、環境影響の軽減に焦点を当てています。このシステムが既存する貨物や交通のデータを束ね、道案内、混雑やボトルネックの注意、大型トラックの駐車場案内などを行っています。さらには、昇開橋のカトヴィーク橋にセンサーとカメラを設置し、橋の通行時間を把握するだけではなく、交通量及び気候状況を把握したうえで照明を管理する機能などもあります。さらには、オンラインのポートモニターが船の動き、満潮干潮や橋の桁下などを管理しています。
ただし、技術があまりにも進んだか、トラックの運転手がデータ端末を使うのは面倒だったのか、利用者数がなかなか延びないので、スマートポートロジスティックスが2018年の夏に閉鎖されるそうです。
再生可能エネルギーの普及を目指しているスマートポートエネルギーが港内のあらゆるエネルギー供給と企業のエネルギー効率向上を対象としています。そのためには、風力発電所と太陽光発電所が港内に設置され、船舶へのエネルギー供給が改良されています。港内でディーゼルを回している船舶が実はハンブルク市内の大気汚染に大きく貢献していますので、対策が必要となります。そのためには、大型客船の陸上電力供給(OPS)、LNGを使って発電するパワーバージ及び陸側に船の側に置かれるコンテナ形のLNG発電所が導入されました。
人の暮らしもスマートになりそうです。数多くの先端的な事例をハーフェンシティで見学できます。その多くが交通管理、敷地のマネージメントや熱と電力のエネルギー供給に関するプロジェクトです。さらには、地区の交通計画がインターモーダル交通を促進する目的と、電気自動車や電動アシスト自転車のシェアリングを促進することになっています。
しかし、ハーフェンシティ以外にもスマートな住宅もあります。例えば、築約100年の住宅にモノのインターネット(IoT)を入れて、気温、照明、目覚まし時計や音楽の調整が自動化されているモデルプロジェクトがあります。冷蔵庫が自動的にその中身を管理し、足らなくなった食べ物を注文します。人がいないと、部屋の記音が自動的に下がり、人が建物に入るとエレベータが待ってくれます。目覚まし時計が朝の交通渋滞を確認した上で、必要に応じて早めに鳴ります。また、建物の入り口には宅急便のロッカーが用意されていますので、隣の人が代わりに荷物を受け取ったりして、荷物をどこかから広う必要がありません。
住宅の全ての機能をスマホで操作でき、スマホがさらに家の鍵にもなっています。
しかし、今年(2017年)の秋にはハンブルク付近の住宅で、アマゾンエコーのアシスタントであるアレクサが一人で大ボリュームで音楽を流し、周りの人は目が覚めて、警察を呼んだことが大騒ぎになったことを考えると、家の鍵など、安全に関連する機能をスマホに任すのはどうかなと、まだまだ思えます。
スマートエネルギーとは電力と熱の街区への供給方法です。スマートエネルギーが特に多くの零細なエネルギー源や発電装置を束ねるバーチャル発電所の設計、消費者の需要を管理するデマンドコントロール、小型のコゼネ発電所の配置や地域暖房の供給に注目しています。
さらには、市内のインフラを記録・管理する取り組みもあります。ELBE+というシステムで、埋設されている配線や配管に関する情報をオンラインのデータベースに束ねることになっています。将来は全ての情報をオンラインの地図で確認できるようになります。安全性を保つ必要がありますので、データを使うまえに、企業がまずユーザ登録をしなければなりませんが、電力、ガス、水土、下水道、通信など、配線・配管の所有者別に問い合わせるよりは大きく楽になります。これだけでも市内の工事がスピードアップするのではないかと、期待されています。
最終更新:2017年12月5日
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