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公共交通のスポンサーリング

路線スポンサーリング
公共交通のスポンサーリング。撮影:Qualle *

様々な広告や宣伝を外に張った公共交通の車両は最近、東京の山手線などにも登場しましたが、ドイツでは宣伝広告が張っていない路線バスやLRTは、むしろ昔から珍しいものです(その代わりに吊り広告がなく、車内の壁には広告も殆どありません)。この広告からの収入を無視できませんが、ドイツの公共交通事業者が日本と比べてさらに手厚い補助金を受けていても、特に利用者が少ない深夜バスなどでは、赤字路線がドイツでも数多くあります。

ボンの公共交通事業者である「SWB Bus und Bahn(SWBバスと電車)」は、2001年にドイツ国内でも先駆けて「路線スポンサーリング」の制度を導入しました。主な対象路線は路面電車の1路線と深夜バスの全路線を含む9路線で、車両の外側全体に宣伝が張ってあるだけではなく、スポンサーの名前は停車場にも時刻表にも書いてあります。また、公共交通事業者のウェブサイトが各路線のスポンサーを紹介し、各スポンサーの企業概要や連絡先などが、データシートの形でウェブサイトに記載されています。各企業がいつごろからスポンサーになっているかも書いてあり、特定路線のスポンサーリング制度が新しく導入されても、古いスポンサーは80年代前半から活動していることが、そのデータを確認すると分かります。

路線スポンサーリングを行わなくても、企業が特定の停留所のスポンサーとなり、停留所の整備費や維持管理費を全て担う都市もあります。その場合はスポンサーの会社名が停留所に付き、企業にとっては公共交通アクセスの利便性を強調できるメリットがあるので、この制度は主に、スポンサーの本社などに一番近いバス停やLRT駅に適応されます。

路線スポンサーリングからの収入を使って、深夜バスのネットワークを拡充できたボンでは、路線スポンサーリングはバス利用者にも好評ですが、公共交通が企業に依存してしまうことも指摘されています。また、公共交通は住民の足として市町村が備えるべき基本サービスであるために、路線スポンサーリングは暫定措置にとどめたほうが良いとの声もあります。いずれにしても、バスやLRTなどの利用者の立場を最優先にし、スポンサーの宣伝は最低限にして、公共交通事業者の特色を生かした車両や停車場の統一されたいデザインや、各路線の分かりやすいデザインを捨ててはいけないと思われます。


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最終更新:2008年9月14日
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ボンのLRTは外部リンクウィキメディアコモンズ外部リンク写真に基づきます。 撮影:Qualle。 ライセンス:Creative Commons 外部リンクAttribution ShareAlike 2.5 License