「携帯駐車」をご存じですか。「携帯駐車」とは、携帯できる駐車場のことではなく、携帯電話から駐車料金を払うシステムのことです。このシステムをドイツ語で「Handy-Parken」といい、日本語への直訳は「携帯駐車」です。
「携帯駐車」はとても簡単です。一度携帯電話やインターネットでユーザー登録してから、駐車場に着いたときと駐車場から出るときに業者へ携帯電話で連絡すればいいだけです。
ドイツのほとんどの市町村は、特に中心市街地にある駐車場をすべて厳しく管理しています。その中に駐車料金も含まれているため、「携帯駐車」のシステムも市町村により導入・管理されています。しかし、市町村行政と駐車する利用者の間に業者が入りますので、市指定の駐車料金に手数料が上乗せされます。とはいえ、駐車料金が厳密に計算されるために、手数料があっても駐車料金が安くつくことが多いそうです。
一つの業者と直接契約を結んでいる都市は多いですが、複数の業者が参加できるゲートウェイ型のシステムが2008年にケルン、ハンブルクとラインラント=プファルツ州のワイン街道沿いにある小さい都市ノイシュタットで導入されました。たとえばハンブルクでは、業者の数がシステム導入以降2つから5つになり、今後も増える見込みです。このゲートウェイ型のシステムはドイツ全国に拡張できるので、一つの業者への一回のユーザー登録でいくつかの都市で駐車できるようになるそうです。
このシステムの導入により利用者の利便性向上と都市のイメージアップを目指しているハンブルクでは、全市にある640台の駐車券販売機、つまり収容11,000台分の街路駐車場がこのシステムの対象となっています。その3分の1が中心市街地にあります。今後はシステムを拡大し、立体駐車場も「携帯駐車」の対象にする予定があるそうです。
ハンブルク市内の現在の駐車料金は駐車1時間につき50セント、1ユーロ、2ユーロ、の3ゾーンに分けられています。「携帯駐車」のシステムを使う場合は、利用者が駐車券販売機に書いてあるエリアコードを業者に伝えると、各料金ゾーンの駐車料金が秒単位で換算され、携帯電話を通して3分単位で徴収されます。
手数料の料金プランはいくつかあります。一般に基本料金が低い場合は1回の駐車料金が高くなります。ほとんどの業者の基本料金は1ヶ月に2~5ユーロで、1回の駐車手数料は10~20セントです。短期駐車が多い買い物客向けの料金プラン、毎日駐車する通勤者向けや数台の車を登録している企業向け料金プランなど、料金プランが多様です。さらには、駐車時間制限に関しての携帯メール連絡サービスなどを提供できる業者もいます。支払い方法ですが、料金は月に一回、銀行口座やクレジットカードから引き落とされ、具体的な駐車時間や料金などをインターネット上で確認できます。また、直截の料金引き落としをいやがる人はガソリンスタンドや売店でプリペイドカードを購入できます。
なお、ユーザー登録後には郵送されたステッカーを車のフロントガラスに貼らなければなりません。このステッカーに基づき、駐車料金の取り締まりを行っている警察官は特殊端末を使って駐車料金の支払い状況をリアルタイムで確認できます。
正確に駐車料金を計算でき、小銭の用意が省けますので、「携帯駐車」はきわめて便利なものです。しかし、現在導入されているシステムではユーザー登録の手間がかかり、さらなる費用が携帯電話の利用から発生し、ほんとうに払う駐車料金は「市指定の駐車料金+業者の手数料+電話料金」になる場合もあると指摘されています。それにもかかわらず、携帯電話の普及とともに公衆電話が街から消え続けているのと同様に、今後「携帯駐車」が普及して駐車券販売機の数に影響し、国内で使える携帯電話を持たない人の生活をさらに不便にする恐れがあるのではないでしょうか。
最終更新:2009年1月21日
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